Diary Of 酒田の人

田舎住まいの60代サラリーマンの趣味の日々

回想の古伊万里 56(色絵竹文嗽碗)

2020-04-12 22:56:46 | 古伊万里
江戸期の伊万里には現在では使用目的の失われた器がありますが、嗽碗などはその代表格かも知れません
「嗽碗」とは、江戸時代において既婚婦人のしるしであった「お歯黒」を嗽するための碗で、鉄漿碗とも呼ばれます。


普通の茶碗に比べて外側へ大きく開いた器形をしているのが特徴で、女性向けということで、器の内側に絵付けがされています
この品は見込部分が釉剥ぎされた上から絵付けされており、重ね焼きされた量産品であることが判ります
時代は定かではありませんが、中期末あたりの「色絵くらわんか」に似た特徴を有しているように感じます。


裏面を見ると、高台の内側に傷があるのが判りますが、この傷は後世についたものではなく、窯傷のようで
色絵付けの段階でこの部分を補修した跡が見られます。
本来であれば傷物として捨てられるところを、絵付け職人の機転によって200年以上生き残ったことになりますね。


以前にこの品を紹介した時にこの世界の先輩より、見込み中央の緑の釉薬が塗られた部分に黒で文字が書いてあることを指摘されました
購入時はまったく気づかなかったのですが、そう言われてみれば、そんな感じもします
とはいえ、何が書いてあるのかはサッパリ判りません。
嗽碗には色絵柿右衛門様式の上手の品も存在しますが、そういった品はどっかの藩のお姫様とか、あるいは豪商の娘さんとかが使ったんでありましょうか。

桜が満開

2020-04-11 20:42:03 | 日記
酒田でもコロナウィルスの感染者が3名出たこともあって、花見も自粛といった感じですが
そんな中、ウチの会社の桜が満開を迎えましたので、帰りがけに撮影してきました。
元々腕が悪いのに夜ですんで、何のこっちゃワカラン画像ですが、雰囲気だけも伝わるでしょうか


この桜の木の横には「大町溝」という用水路があり、大きな鯉が泳いでいますし
冬場にはエサを求めて白鷺がやって来る時もあります。

会社の敷地内なもんで、以前はお昼休みに弁当を食べながら花見をしたこともありました。


「沈黙の春」はしばらく続きそうですが、今は辛抱の時ということでしょうか。

回想の古伊万里 55(色絵柿右衛門龍に宝珠五寸皿)

2020-04-06 21:44:16 | 古伊万里
 前回このカテゴリーでコロナに打ち勝つべく、染付の龍文皿を取り上げましたが
なんとブログに掲載した途端に山形県内でコロナウィルスの感染者が続発、今日現在で13人を数えてしまいました。
なんとか状況を打破するべく、今回は色絵の龍文皿を出してきました。

「柿右衛門様式龍に宝珠五寸皿」です

元禄あたりの柿右衛門様式の小皿ですが、赤と青、そして緑の色絵と金彩が使われ、中央部の圏線は染付です
赤が多用された柿右衛門様式としては珍しいタイプの品ですが、筆致の細かさはさすがに盛期の柿右衛門といえるものがあります
↓が龍文の拡大です。

五寸皿ですので、少ないスペースにこれだけ細かく絵付けするのは大変な技術が必要なのは確かですね(ワタシには絶対ムリ)
見込み中央にはお馴染みの鳳凰文が絵付けされており、宝珠に龍、そして鳳凰が揃い踏みしています


極めて薄く成型されており、上り発色とも申し分ない出来栄えの品で、お約束通りの裏白です


同じ文様の品でも七寸サイズになるとワタシには絶対に手の出ない値段になりますので、このあたりが限界といえます
さて、コロナウィルスの感染拡大に力を発揮してくれるでしょうか・・・

酒田をちょっと散歩 21

2020-04-05 19:55:17 | 散歩
 あまり面白くない散歩シリーズですが、今日も酒田の中心街に残る古い建物を紹介したいと思います

酒田では桜の季節ですが、見頃は今週末あたりかも知れません。
そんな中、光丘神社の鳥居の横に植えてある枝垂桜は一足早く見頃を迎えつつあるようでした


市役所から歩いて2~3分のところにある、「丹波屋」さんです
詳しいことは判りませんが、古くから酒田の中心地に大きな屋敷を構えています

ここは角地で、横の通りから見るとその広さが感じられます


こちらのお宅は柳小路を南へ向かった港橋の近くにありますが、詳しいことは判りません


こちらは、「森石材」さんの建物ですが、屋根にはしゃちほこが付いています

塀で見えませんが、立派なお庭もあるようです


以前に紹介した大きな唐門のある浄福寺の向かいにある、「小野太右衛門商店」です
中心商店街の北の端の通りに面しています

タイムスリップしたかのような建物ですが、昔ながらの日曜雑貨を扱うお店で、創業は幕末ということです
このお店は明治27年の庄内大地震による火災、さらには昭和51年の酒田大火でも奇跡的に消失を免れたことで
現在もこのような古い姿を維持しています。

こちらは酒田駅から歩いて数分のところにある「藤井家」です

塀で見えませんが、藤井家は酒田でも五指に入る大地主で、大きな庭には、小豆島から取り寄せた御影石による極上の春日灯籠や
雪見灯籠を十数個も置かれており、酒田でも屈指の名園と言われていたようです。

(中には入れないので雰囲気だけですが)
現在はこの庭園の後ろに大手のクリーニング会社の本社社屋が経っています
(時代の流れとしか言いようがありませんが・・・)

酒田をちょっと散歩 20

2020-04-04 23:26:18 | 散歩
 酒田では桜の開花宣言も出て、いよいよ春の到来という時期なんですが、コロナウィルス騒動の渦中でありまして
多くのイベントが自粛になるのは致し方ないようです。(現在、山形県の感染者は8人、酒田ではまだ出ていませんが・・・)

先日、15年ほど前に作られた、「酒田港周辺の歴史遺産と観光施設」という資料を発見、この資料で取り上げられている
38カ所の歴史遺産を訪ねてみることにしました。しかし、15年前の資料ということもあって、すでに失われている歴史遺産もいくつかありました。

とりあえず、日和山界隈からスタートしますが、以前に紹介している場所もありますので適当にセレクトしています。
ちなみに、日和山公園では桜祭りの準備中でした


まずは日和山公園の通りを挟んで反対側にある西洋風建築、「原亭」です


いつ頃建築されたのかはわかりませんが、当時はハイカラな建物であったことは想像できます
原亭の前の坂を下り、右に曲がると右側にはこんな風格のあるお屋敷が・・・

原亭の持ち主のお屋敷なんでありましょうか。(そのうち住宅地図で調べたいと思います
このお屋敷の前の通りを北へ向かうと、そこはかつての遊郭街でありまして、昭和33年3月31日の赤線廃止以降に
転業したと思われる古い旅館が何軒か存在します。

まずは、「松山旅館」ですが、中はかつての遊郭の作りがそのまま残っているとか

その北隣にある、「西村屋旅館」はお色直し中でした。

以前にも書きましたが、今から43年前、18歳のワタシは近くのスーパーの鮮魚売場に立っており
西村屋さんと松山旅館の女将さんは、良く連れ立って買い物に来ていたのを覚えています。

西村屋さんの向かいにあるのは「松美屋」さんで、こちらには「海望楼」という文字が見えますね。

さらに北へ向かい、右へ曲がると裁判所へ向かう坂の手前に空地があります

今では何の変哲もない空地ですが、ワタシが近くのスーパーにいた頃はここに、「キャバレー酒田ハワイ」があり
会社帰りに前を通ると、男性が二人で店の前に立って客引きをしているものでした。

再び日和山公園の方へ戻ると、「旧割烹小幡」があり、隣には「おくりびと」のロケで使ったNKエージェントの建物があります

ワタシはこの「旧割烹小幡」には2度しか入ったことがありません。
この建物は運営権を「平田牧場」が買い取り(?)、市と共同でイメージを残しながら改装を行い整備することになっています


この建物は以前にも紹介した「上喜元」でお馴染みの蔵元、「酒田酒造」ですが、左に見える母屋は橋本家で
この建物は文化庁の文化財登録の建造物です。
ちなみに、酒田酒造は昭和21年に五つの蔵元が合併して出来た会社で、その中でも最も古い「橋本酒造」(1844年創業)で
醸造をするようになったということのようです。

長く続く黒塀がいかにもな雰囲気ですね。