Diary Of 酒田の人

田舎住まいの60代サラリーマンの趣味の日々

回想の古伊万里 18(鍋島竹文五寸皿)

2019-10-04 20:23:09 | 古伊万里
 鍋島が江戸期における日本の磁器の最高峰であることは、どの研究本にも書いてあります
その評価の中心となるのは当然、盛期の色鍋島である訳ですが、そのような品は滅多に流通していませんし
名品の多くが美術館等に収蔵されていますので、価格と言う面を考慮する以前に貧乏コレクターには図録や美術館で見るだけの品でしかありません。
それでも何とか鍋島が欲しい、となると江戸後期~幕末の染付の品「藍鍋島」だけがターゲットになりうる存在です
とはいえ、ネットオークションを見ると、怪しい品が沢山あり、実際に中国あたりで作られたコピー品もそれなりに存在するとか。
そんな訳で、ワタシの場合ずっと「鍋島だけは手を出したらアカン!」というスタンスだったのですが
思わぬ経緯で幕末~明治の鍋島を入手するに至ったのが今回の「藍鍋島竹文五寸皿」です。



表は鍋島らしくしっかりとしたデザインと筆致で竹文が描かれており、染付の発色も良く、クオリティが高いように思います



鍋島の特徴でもある木盃形の成形、そして高い高台も約束通りですが、裏文様は一般的な七宝繋ぎなどとは違っていますが
こういった感じの裏文様は幕末~明治の平戸にも見られるようです。

そしてこの品の最も特徴的な部分が、高台部分の文様です。



鍋島といえば櫛歯文で、その描き方の丁寧さで時代判定をする程ですが、この品の場合
羽を広げた雀と思われる文様が描かれています。表が竹ですから「舌切り雀」かと思うような組合せです。
間違いなく鍋島ではありますが、この自由さは明治に入ってからの品?、という想像ができるように思います。

このように面白い鍋島ですが、実はこの品は「買ってもらった」品なんであります
当時、東京在住だったワタシの姉が骨董祭で京都の有名業者さん(通称「お休み処さん」)から購入
東京を引き払う際にお土産として持参したのがこの品でした。

その後、自分でも江戸期の鍋島(キズ物ですが)を購入しましたが、
未だに「鍋島だけは手を出したらアカン」というトラウマがあるのも確かです。