裏側シリーズもそろそろネタ切れですが、とりあえず今回は「平戸」(三川内)として購入した品の裏側を紹介します。
ウチにはたいした品はありませんが、それなりの特長が見られるようには思います。
① 明治期の平戸で最も多く見られるタイプの裏側
伊万里系とは明らかに違う唐草で、この唐草を見たら平戸、みたいな感じでしょうか
白い土、墨弾きと薄濃みもまた特長のひとつです
➁ これも良く見られる鍋島写しの七宝繋ぎが描かれた作例
この品は七宝文が二つですが、同じタイプの小皿でも七宝文が三つ描かれた作例もみられます
表は①と同様に墨弾きと見事な薄濃みで、土の白さを生かしたデザインでもあります
③ これも➁と同様に鍋島写しの裏文様
業者さんは幕末として売っていますが、恐らくは明治に入ってからの品だと思われます
表は裏とは違ってデザイン、薄濃みともに見事な出来栄えです
④ 墨弾きの技法で波と千鳥文が描かれた作例
表は桜川文ですが、土の白さが繊細で美しい文様を引き立ています
それほど時代がないように感じますが、とても魅力のある品だと思っています
⑤ 紅葉文を散らした、あっさりしたデザインの裏面です
表は鳥兜という変わった文様が描かれています
今から20年近く前にヤフオクで購入した品ですが、滋賀県の大手業者さんは「藍柿」として出品しておりました。
源氏物語に由来する文様と知ったのは、博識な遅生さんのおかげです
平戸の土の白さは伊万里の青白いそれと違っていることを理解した上で
その白さを生かすデザインと絵付けが行われたんでありましょうか。
もっとも、裏と表のギャップがあるのも事実ですが・・・。
最近はこういった平戸があまり流通していないような気もします。
最後の紅葉に鳥兜皿、これがアップされた時にも書きましたが、源氏物語「紅葉賀」の一場面を象徴する絵です。幔幕や太鼓が描かれることもあります。この皿のデザインとよく似た図柄が着物にあり、「紅葉賀」と呼ばれています。江戸時代中ー後期、町人が豊かになり、着物が普及するにつれて、このような洒落たデザインの着物が作られていったのでしょう。おそらく、この小皿はそれを取り入れた。ですから、時代的に、「藍柿」はないですね。
また、表文様も、それぞれ秀逸ですね。
平戸は、やはり、少数精鋭というところでしょうか。絵が上手ですよね(^_^)