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ケルト妖精学 講談社学術文庫

2010年10月01日 | 読書日記など
『ケルト妖精学 講談社学術文庫』
   井村君江・著/講談社1996年

底本:『妖精の系譜』 新書館 1988刊

裏表紙に書かれてあります。下「」引用。

「アイルランドに伝わるケルト神話では、戦いに敗れて地下に逃れた異教の神々が妖精の祖先とされる。妖精たちは、民間伝承や文学作品にどのように登場し、表現されてきたか。アーサー王伝説の湖畔の精やシェイクスピアの妖精王オーベロン、児童文学のピーターパンなど、妖精像の変容を神話学、民俗学、比較文学等の視点から興味深く論述。妖精研究の第一人者よるファンタジック・フォークロアの力作。」



「妖精学」 下「」引用。

「しかしこの語をいま敢えてわが国で使おうとするのは、「妖精」を単なる民俗学の研究対象にとどめず、また創作の世界において考えても、文学の主題研究(テマトロジー)や題材研究(シュトッフゲシヒテ)の範囲だけではなく、絵画や音楽、演劇やバレー等の様々なジャンルにわたる表現主題と考え、そこでの変遷過程や映像の変容を考察することは、芸術研究や文化研究、そして比較文学研究の上からも意義のあることと思うからである。-略-」

シェイクスピア。下「」引用。

「長いこと悪魔と同一視され、邪悪な存在として恐ろしがられいてた妖精たち超自然界の生きものに、文学の上で美しい容姿と親しみやすい性質を与え、土俗の暗い闇の中から明るい民衆の舞台と平土間(ひらどま)の中に連れ出して、今日見るような映像に定着させたのは、イギリスにおいてシェイクスピアであった。」

聖コラムキル。下「」引用。

「聖コラムキルは前述のように、ドルイドとキリストを重ね、アダムをケルトの祖先とし、またノアの娘セゼールを洪水四十日前にアイルランドに上陸した唯一にして最初の女性とすることによって「創世記」とアイルランド最古の種族パーソロンの伝説や人物を連関させていったのである。このようにいささか強引な方法であるが、実際においては緩慢な移行措置がとられてゆき、従って土着信仰の神々は、邪教の悪の神としての汚名を免れたわけである。」

二つの種族。下「」引用。

「いみじくもウェンツは「アイルランドには二つの種族がある--一つはわれわれがケルトと呼ぶ〈目に見える種族〉と、もう一つは妖精と呼ぶ〈目に見えない種族〉である」と言い、今日でもこの二つの種族は互いに往き来していると言っている。」

攻撃はなかった……。下「」引用。

「-略-紀元四三二年に聖パトリックによってキリスト教が伝えられても、イギリス本国で妖精たちを異教の神々としてデヴィルやデーモンの類として斥けたほどの激しい攻撃や否定には出会わなかった。」

妖精の体、幽体。下「」引用。

「妖精の身体が幽体(アストラル)という「凝縮した雲」のようなものという説明は、妖精が変幻自在に姿を変えることのできる身体だという言い伝えにふさわしい属性で、他のところでは「凝結した空気」と言っている。」

冥府とをへだてるもの“水”……。下「」引用。

「ギリシャ神話の冥府を流れるレイテ(その水を飲むと現世のことを一切忘れる)やアケロン(渡し守の舟で渡る)、日本の三途の河など、現世とあの世を隔てるのは水という考え方は多くの地方にあったようであるが、ここでは多分にケルトの考え方が入っている。」

「古代文学に現われたフェアリー、エルフ、フェ」 下「」引用。

「イギリスでもっとも古い作品としてと知られるのは、古英語で書かれた『ベオウルフ』(Beowrelf)である。-略-」

「チョーサーの『カンタベリー物語』と妖精」 下「」引用。

「こうして見てくると、チョーサーは学者であり、宮廷詩人であったにもかかわらず、当時民間に伝わっていたこれらの迷信を、軽い皮肉というよりは、もう少し積極的な興味の目で見ていたようである。しかも、自分では冗談半分に妖精なとは何世紀も前にいなくなったと言いながらも、彼の正確な筆づかいで風俗を写してゆけば、話の中に妖精が一切入ってこないわけにはいかなかったのであろう。それにチョーサーにすればこれほど一般読者の興味を引く、世間好みの空想的なテーマを、たとえそれが少々俗っぽいとしても、使わずにすますことができなかったのではないか。『カンタベリー物語』の妖精はそのまま、当時の都市の市民階級の魔に生きていた妖精である。」

「チュートン伝説と物語詩から生まれた妖精王オーベロン」

「妖精の産婆」 下「」引用。

「「さては君は一夜をマブの女王と過ごしたな、あいつは妖精の産婆だ」(『ロミオとジュリエット』)。ここで言われている「妖精の産婆」(フェアリー・ミッドワイフ)とは妖精の子を取りあげるのではなく、人間の夢をひきだす、人間に夢を見させるの意であって、マキューシオはこれから延々とさまざまな夢のことを話す。-略-マブの女王には悪魔としての属性の他に、あらゆる種類の人間に夢を見せる能力が与えられており、夢を見る原因がマブの仕業になっているのであり、この点はシェイクスピアの独自な創意といえよう。」

「児童文学の中の妖精」 下「」引用。

「「児童文学の中の妖精」は、民間伝承の妖精を踏まえながら、各作家ちがその想像力の自在な駆使によって創造した妖精である。-略-」

「妖精研究の大家キャサリン・ブリッグズ」








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