磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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婦人世界三月特大号

2010年08月10日 | 読書日記など
『婦人世界三月特大号』
   福山秀賢・編/ロマンス社1950年

永井隆が書いた記事があるので、手にした古い雑誌です。



「シベリアから歸(かえ)った弟」長崎医大教授医学博士 永井隆・著。 下「」引用。

「悲しく変った男
 弟がシベリアから帰ってきた。--いきなり大きな男がずかずかと私のまくらもとへ来て突立(つった)つたときには、逆光線で顔がよく見えなかつたせいもあるが、何か異様の人種かと思つた。五体がかすかに震えていた。その五体の毛穴から一種の寒い気流が吹き出しているように私には感じられた。-略-
「兄さん……」
 声をきいて、弟だ、弟が生きて帰つてきた、シベリアから死なずに帰つてきた--と何もかもついしよに、想いが胸の中に湧きうずを巻いた。
 弟はすつかり変つてしまつていた。全く特別な一つの型をもつていた。たしかに異なつた人種になつているようにみえた。
 いつも何ものかに対して警戒している。スズメのように絶えずおどおど、きよろきよろしている。何も恐ろしいものは傍にも遠い処にもおらないのに、神経をつかつている。ひとりで働いているときには、かならず赤旗の歌を人に聞こえるように大声で歌う。別にそれが好きでもないらしく、どこかの一節だけ、厄よけのまじないみたいに、くり返して歌つている。私が何か尋ねると、直には答えない。何のため尋ねたかこちらの腹をうがうのか。しばらくは私の顔色をみたり、空をみたりして口をつむつている。自分の方から何か新しい意見を先に立つて述べることは絶対にしない。その代り私などが述べる意見には、たちどころに「同感!」と叫ぶ。また長上の言つた言葉をほかの人にむかつて何回も傳える。仕事は命ぜられた事だけは、せかせかと、きちんと言われた分量だけやつてしまう。自分の方から新しい仕事を企ててやつてみることは絶対にやらない。
 御飯をたべるときは話もしなければ、わき見もしない。自分の茶わんと皿の中の物をせかせかと食い上げてしまう。ゆつくりと食べているとほかの仲間がさきに食い上げて自分の皿に手をのばすのを恐れているかのようにみえる。-略-手紙は書かない、書くことを忘れたようだ。晝寝(ひるね)をしない、用があるのかないのか知らぬが、いつもせかせか足音高く行つたりもどつたりしている。よく忘れ物をする。手に物を持つことに慣れておらぬとみえる。表情がなくなつている。顔がこわばつているのかも知れない。--
 弟はもともとそんな男ではなかつた。--シベリアで強制労働をやらされている間に、こんなに変わつてしまつたのだ。-略-」

シベリア抑留での洗脳……。

--平和を真剣に考えた永井隆が、洗脳などをする人たちを危険とみなしたのは正しいことだったとボクは思います。

それに対して、洗脳する同じイデオロギーの人たちが永井隆を罵倒していたのが、なるほどと想えました……。

アインシュタインやラッセルなども危険だとしていたイデオロギー団体ですね。

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■燔祭説は良いことではないか?■

「神のご計画としても、よいことではない」という被爆者がいた。

イエスの十字架もそういうならば、どうなのだろうか?

たしかに罪なき人が裁かれることは、よいことではない。

だが、神の計画としてはどうだろうか?

もはや、信者ではなく、一個人だろうか?

キリストとて、十字架では、一個人になり、神を呪ったほど……。

むしろ、問題視しないほうが、問題であろう……。

だが、神のご計画というものの、結実はこの世ではない……。

--永井隆は熱かった……。

検証-シベリア抑留






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