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南京事件 岩波新書 新赤版 530

2010年07月26日 | 読書日記など
『南京事件 岩波新書 新赤版 530』
   笠原十九司・著/岩波書店1997年

表紙の裏に書かれてあります。下「」引用。

「日中戦争において、日本は当時の中国の首都、南京を激戦のすえ攻略した。このとき発生した、いわゆる「南京大虐殺」は重大な戦争犯罪として、いまも論議の的になっている。著者は、攻略戦の発端から説きおこし、外国人記録を含めた史料群を博捜し分析して、その全体像を描き出していく、現代史の焦点を衝く待望の歴史叙述!」



南京大虐殺よりも砂糖……。下「」引用。

「南京大虐殺について、それ以上の深入りや言及を避けるかのように、最小の事実だけを記したものだった。国民の側も、たとえば最後の三戦犯の死刑宣告を伝える記事よりも、同紙面の「砂糖、年内に配給か」とやや大きな見出しで、輸入砂糖の入荷によって待望の配給が可能になったことを伝えた記事のほうに関心が向いたことは想像にかたくない。」

東京裁判で、事実認定。

「海軍もだんだん狼になりつつある」下「」引用。

「八月一五日の南京渡洋爆撃は、第二次上海事件が勃発する前日(八月一二日)、海軍軍令部総長から中国派遣の第三艦隊(司令長官長谷川清中将)にたいして下された「敵攻撃し来たらば、機を失せず敵航空勢力を撃破すべき」(大海令第一二号)によるものだった。八月一三日夕方に上海戦の先端が切られたのを待っていたかのように、同日の深夜、南京渡洋爆撃が命じられたが、翌一四日は、東支那海に停滞する台風のために爆撃機が長崎大村基地を出撃できず、台湾の台北基地を発進できた第三空襲部隊の一八機が悪天候をおして杭州と広徳を空襲していた。」

「下克上」の陸軍「石原莞爾武藤章の衝突」 下「」引用。

「海軍とは対照的に、陸軍は作戦計画、動員準備も不十分なままに、場当たり的、なし崩し的に全面的に突入していった。それは、蘆溝橋事件をきっかけに陸軍中央に、不拡大派と拡大派の深刻な対立が生じ、後者が前者を駆逐してしだいに作戦の主導権をにぎっていったことによる。その経緯を、不拡大派の中心であった参謀本部第一(作戦)部長石原莞爾少将と拡大派の戦法であった同部作戦課長武藤章大佐の動きに焦点をあてて、見てみたい。武藤大佐は、本書の序に述べた東京裁判で絞首刑になった人物である。-略-」

「オベッカ」政府。下「」引用。

「近衛首相、広田外相など当時は軍に「オベッカ」を使っておった政府であります。何事でも「軍はどういう風に思っておるか」というて心配する非常に勇気のない政府でありまして、軍に問うては事を決するというやりかたで、政治的に全責任を負い、戦うも戦わざるも国家大局の着眼からやっていこうというものはなかったことをつくづく思います。(『河辺虎四郎少将回想応答録』)」

首脳陣は慎重論。正式な命令のないまま……。下「」引用。

「陸軍省の田中新一軍事課長は、「南京攻略に関し、陸軍省首脳部は慎重論、軍務課長柴山〔兼四郎〕大佐のごときは南京攻略は地形上不可能の理由をもって南京作戦阻止を大臣・次官に意見具申す。参謀本部作戦課は積極なり」と手記に書いている(『支那事変陸軍作戦』)。冷静な判断力をもった指導部ならば、国民政府の重慶移転宣布(一一月二○日)によりすでに首都でなくなった南京を、上海戦で疲弊し軍紀弛緩した部隊をあのように強行軍・難行軍させてまで短時日で攻略するほどの戦略的意味がないことは、理解できたはずである。結局は、陸軍中央部内で「下克上」的に主導権を掌握しようとした拡大派の党派心と、南京占領=中国の屈伏の殊勲者という時代錯誤的な功名心にかられた中支那方面軍・上海派遣軍・第一○軍の上級指揮官たちの野心とが相乗して、正式な命令のないままに南京攻略戦が強行されたのである。」

「中国一撃論」戦争ゲーム……。下「」引用。

「国民は拡大派の喧伝する「中国一撃論」に幻惑されて、南京が陥落すればあたかも日中戦争が決着して日本が勝利するかのような期待感をいたくようになり、官庁・学校は南京陥落祝賀行事を計画して、提灯や垂れ幕の準備をはじめ、さながら南京をゴールとする戦争ゲームでも観戦するように、日本軍の進撃ぶりに喝采をあげ、早期南京占領を待った。」

軍規違反の強制。下「」引用。

「当時の「陸軍刑法」(一九○八年制定)には、「第九章掠奪の罪」に「〔第八六条〕戦地又は帝国軍の占領地において住民の財物を掠奪したる者は一年以上の有期懲役に処す。前項の罪を犯すに当たり婦女を強姦したるときは、無期または七年以上の懲役に処す」と明記されていた。食糧や家畜も中国住民の財物であったから、中支那方面軍が各部隊に食糧現地兆発=略奪を強いたことじたいが、陸軍刑法に違反する行為の強要であった。方面軍司令部が軍紀を弛緩させる要因をつくったのである。
 さらに同法は、略奪行為が容易に強姦の犯行におよぶことを想定している。その意味でも、強姦などの犯罪行為を誘発する現地徴発を作戦行動としておこなわせた中支那方面軍司令部の責任は大きい。」

「地獄のクリスマス」 下「」引用。

「「クリスマスがきた。街には、いぜんとして殺戮、強姦、略奪、放火がつづき、恐怖が吹き荒れている。ある宣教師は“地獄のクリスマスだ”と言った」とヴォートリンは日記に書いた(「ウォートリン文書」)。」

写真の説明文。下「」引用。

「撮影者マギー牧師は「この18歳の少女は1カ月も拘留されて連日強姦され、あらゆる種類の性病をうつされた」と解説(鼓楼病院にて)。国民政府軍事委員会政治部『日寇暴行実録』所掲。」

不運? 下「」引用。

谷寿夫にとって不運だったのは、第一六師団長中島今朝吾と第一○軍司令官柳川平助が敗戦後すぐに他界し、上海派遣軍司令官朝香宮鳩彦王は皇族ゆえに免訴されたことがあって、南京攻略戦に参加した師団長のなかで谷だけが逮捕され、死刑判決を受けたことである。-略-」









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