磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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小火(ぼや)

2005年11月11日 | 短編など
小火(ぼや)

シュワー!
マッチをつける音。

シー!
見つかっちゃうよ。

昼間外で花火をしてもきれいじゃない。
それで納屋で花火。

学校でおそわった戦争の話だって、
戦争はいけない、いけない、
大人はそればっかり。
大人が戦争したんだろう。

花火はとてもきれいだ。

少年は花火に夢中になっていると、
納屋は火だらけになっていた。

「うわー!」
少年は逃げ出した。

少年の母は少年をみるなり、頬をびっしゃと叩いた。
少年はこわい夢からさめたように泣き出し、母にだきついた。

「ごめんよ、花火していたんだよ」
「あれほど、しちゃダメといったでしょう」
少年の母も涙をうかべていました。
消防署のおじさんが注意をして帰った。
少年は何をおじさんが言っていたか、
さっぱり覚えていない。

昼ごはんのおかずは真っ黒でした。

父親が帰ってくると、
「命があってよかった」
と話した。

少年は思いました。
母は泣いていました。
命があったからよかったといいました。
少年は学校の先生も
戦争の話をそのように話してくれたのかと思いました。







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