「新米の教員です。宿題をしてこない生徒の対応に困っています。どのようにすれば良いのでしょうか?」
生徒が宿題を忘れてきたら、大抵の先生、特に新米の先生は、まず、宿題を忘れたことを「指摘」して、明日は忘れないように!と「指示」します。
それで、翌日、その生徒が宿題をやってくればいいですが、また、忘れてきた場合、今度は、少し厳しい口調で、「どうして宿題を忘れたんだ!」と「指摘」し、「明日は絶対にやってきなさい!」と「指示」します。
先生の対応は決して間違ってはいませんが、ただ、その先生は、「指摘」と「指示」をするだけで、生徒に具体的な改善行動をする「指導」を行なっていないのです。
「宿題をしていない」は「指摘」、「宿題をしてきなさい」は「指示」です。
そこに宿題をやることの「価値」を理解してもらうことが「指導」になるのです。
「指摘」と「指示」だけでは、生徒のセルフイメージは下がり、宿題へのモチベーションも上がりません。
人は価値を感じるものに対して行動を起こします。
例えば、あなたの財布の中にあるパン屋さんの「ポイントカード」がなくなっていたとします。
あなたはどうしますか?
きっと、今度お店に行ったら、また発行してもらおうと思います。
もし、財布の中の「クレジットカード」がなくなっていたらどうでしょう?
おそらく、すぐに会社に電話をかけ、カードの使用を止め、再発行の手続きをするはずです。
すぐに行動してしまう、そのモチベーションは「クレジットカード」に「価値」があるからです。
宿題をしない生徒に、「指摘」と「指示」をする前に、宿題をすることの「価値」をわかってもらいましょう。
「指導」とは、学校やクラスにあるルールを守ることに価値づけをし、それが自分の成長や周りの人との良い関係を作り、貢献になるということを理解し、主体的に行動してもらうことです。
わかってもらうためには、まず、わかってあげることです。
生徒のセルフイメージを下げないように、思いやりを持って傾聴し、生徒の気持ちが前向きになるように関わることが「支援」です。
教師は生徒の「コーチ」であり、「メンター」となることです。
子育ても部下育成も同じですね。
良きコーチや良きメンターは、「相手を無条件に信じる人」です。
人は信頼してくれる人に対して、本気になるのです。