平安時代中期ごろから「才」「漢才」と対比的に使われはじめ、諸内容を包含するきわめてひろい概念であった。江戸時代中期以降の国学の流れのなかで、「漢意(からごころ)」と対比されることが多くなり、「日本古来から伝統的に伝わる固有の精神」という観念が付与されていった。明治時代以降、過剰に政治的な意味が付与されるようになり、第二次世界大戦期には軍国主義的な色彩を強く帯び、現状を打破し突撃精神を鼓舞した。
日本人には日本人としての徳目がある。それらを総称して大和魂と呼ぶ。
その徳目の検証であるが、
・「和」 争いをやめ仲良くする心。
・「誠」 誠意を尽くし嘘偽りをしない心。
・「潔」 桜の散り際のような潔さを尊ぶ心。
・「清」 穢れを嫌い清浄を求める心。
・「情」 他を思いやり自分の事のように心を重ねること。
・「尽」 自分を犠牲にしても相手に尽くそうという心。
・「根」 根気と不退転の決意を持つこと
・「誉」 礼儀を重んじ恥を知ること
これらの心を古来日本人は重視してきた。したがってこれらをもって大和魂と言って差し支えない。
日本民族固有の精神である。勇敢で、潔いこと尊ぶ心である。和魂、大和心ともいう。
本居宣長はこう詠んだ。
「敷島の大和心を人問わば 朝日に匂ふ山桜花」
また、維新への道筋を開いた輝かしい先駆者の一人、吉田松陰が刑に就く前夜、こう詠じている。
「かくすればかくなるものと知りながら やむにやまれぬ大和魂」
本居宣長、吉田松陰に共通するのは、大和魂(心)は、心穏やかで清く相手を上下関係で見ることなく互いに和する(例えば教えあい学びあう)という精神であった。