時間は横軸

時々刻々と変化してるのですわ...

琳派芸術、出光美術館に行ってきました。

2011年03月08日 23時44分54秒 | お出かけ



先週末(5日(土))、丸の内の出光美術館へ。
初めて、ですね、この美術館。やっぱり近いとなかなか足が向かないのか…。

『琳派芸術』が開催中(2011/2/11~3/21)。
酒井抱一生誕250年 光悦・宗達から江戸琳派 「第2部 転生する美の世界」という副題。
光悦、宗達、光琳の金だらけの屏風、絵画がメインとなっていた第1部の「煌めく金の世界」には行けず、見逃してしまったのは残念。できれば別の機会にそれらを見たいなぁ。

さて、銀だらけ、抱一を中心とした第2部。
でも"銀"というのは、経年変化で黒ずんでしまうのが素材としての宿命。
渋い銀で描かれた屏風は、金の屏風とはまた違う"重み"みたいな落ち着いた感じを受けました。
ちょっと調べてみたら、銀屏風や本銀箔は「先人を忍ぶ席」のときに用いられるらしいです。
派手ではないけど飾られるものなのかな。

ということで、気になった絵などを…
まずは、酒井抱一。
『風神雷神図屏風』、右側に風神、左側に雷神、というのはおなじみのものですけど、宗達の風神雷神図を模写した光琳の風神雷神図を模写したもの、ってややこしいんですが、コピーのコピーという孫コピー図、といえば良いのかな?しかし、それぞれに模写する段階で自分の思いが入っているので筆使いやちょっとした構図、雲の感じが異なっているのですね。顔の表情がそれぞれ異なっているが、やはり時代と好みの違いなのかな。
宗達、光琳、抱一の3つの「風神雷神図屏風」を並べて比較できるように横に掲示されており、な~るほど、です。
『八ツ橋図屏風』はやはりデカイ。迫力。
左下から右上にジグザグと橋がかかっている絵なのですが、尾形光琳のものとの比較も横に掲示されており、なるほど違うんだなぁ。光琳の描いた橋脚(というのかな?)は正面から視た格子状なのですが、抱一の橋脚は斜めっていて、違いを出しているんですね。奥行き間を出したかったのかな。
『紅白梅図屏風』銀の背景に幹がニョキッ!と下から上に向かって伸び、尾形光琳の金屏風『紅白梅図屏風』とは違う斜めった配置と渋さ。
『十二ヶ月花鳥図貼付屏風』、六曲一双の12枚に1年の各月を絵にしてあるもので、しかし展示方法(順路)が12月→1月だったのは、何か美術館側の意図があったのか、右から順に1、2、3…と鑑賞できるようにしてくれたらまた感じ方が変わったかな、と思った。10月の3羽寄り添う鳥のかわいい表現や7月の向日葵、草花や虫、鳥、緻密ですね。向日葵は江戸時代にもメジャーになっていたんですね。
『燕子花図屏風』の群青色を何種類か使って濃淡をつけたカキツバタ。
白のカキツバタがポツポツと配置され、蜻蛉も一匹、清清しい感じと、なんとなく陽射しの暑さのような、初夏の湿った空気を感じました。
次は鈴木其一。
『芒野図屏風』。銀地に薄、蛇行する夜霧(靄?)が、月夜の幻想的な感じが良いです。
冷たく湿り気味の空気と涼しいというか寒気というか、秋の夜の荒野のよう。
『蔬菜群虫図』。ナスやキュウリ、蝶、蜻蛉、スズメ、そして全てが青々した葉ばかりでなく枯れていたり虫食いとなっているなどの表現、細かな筆遣いや描写、ちょっとした面白みのある絵でした。これは英訳がなんとも…Plants and Insectsだったか、漢字と英単語の差が…。
『立葵図』。真っ直ぐ垂直に立っているものばかりじゃなく、曲がっちゃっているのも"アオイ"なのね、というのでしょうか、なんだかへそ曲がりなのかな?とも思ってしまった絵。
その他、櫛の下絵、というのが印象に残りました。表裏で一対なのか2つで一対なのか、ちょっとわからなかったですが、櫛の狭い面に梅などの花木が描かれ、2つで1つの絵になるようなデザイン。
茶碗や角皿などの工芸品もありましたが、絵画であると同時にデザインなのかとも思う部分や、皿の裏に書のあるものもありました。

江戸時代の"銀"の背景をメインとした屏風絵、豪華な絵を堪能しましたヨ。



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