夜泣き屋_ブログ店

僕がいなくなったときに、ウチのチビたちが楽しめるような、「ウチのチビたちのためだけの千夜物語」を目指します

・・・期待

2011-10-29 11:51:36 | 親父のため息
・・・眠れなくなった。




酒をガンガン飲みながら、ユーチューブで、いろんな曲を聞いていた。




ふと、コブクロの「蕾」が聴きたくなってしまった。




この曲は、「東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜』の主題歌に書き下ろされた曲です。

作詞作曲は、コブクロの小渕さん。



レコード大賞をとったときに、「母が一緒に歌ってくれたと思う」っていうコメントをした、有名な曲です。





♪涙こぼしても
 汗にまみれた
 笑顔の中じゃ
 誰も気づいては
 くれない
 だから、

 あなたの涙を
 ぼくは
 知らない。




私には、おばさんがいて、母のお姉さんにあたる人です。



農家に嫁いだおばさんには、お子さんがいなかったせいか、私のことは、とても可愛がってくれました。






ほんとは、一度妊娠したのだけど、流産してしまって、そのあと、子供ができることはなかったのです。






私が、高校生の頃、



私は、バイトがしたかったのですが、私にバイトをさせると、何をしでかすかわからなかったので、ビビッたウチの



おとんとおかんは、



「おばしゃんちで、働いて来い!」



と、言います。





私は、暑い夏の田んぼで、寒い冬の畑で、おばしゃんと一緒に、農作業をしました。





私は、見た目も悪かったし、高校生の頃には、私に期待してくれる人なんか、誰もいませんでした。




だのに、おばしゃんだけは、



「あんた、強かね〜。」



「あんた、力の強かね〜。」



って、私をほめてくれました。







ほんと言うと、私が褒められるようなところは、「力が強い」って、そこだけしかなかったのですが、等身大で期待してもらえることがなかった私にとっては、「私のいいところ」をそのまま見てくれる貴重な存在でした。





・・・ちなみに、オヤジも、私に期待してたみたいですが、その期待は、【弁護士になれ】とか【市議会議員になれ】とかいうようなむちゃくちゃなものでした。






「強かね〜。」「アイスクリームば、食べんしゃい。」




それから、何年もたって、私も仕事をもち、家族を持ちました。








おばしゃんは、肺癌を、患いました。




親戚が、おばしゃんをはげますための飲み会を企画しました。




カラオケのある座敷で。






おばしゃんは、



「Rの歌が聴きたか。」



って、言ってたそうです。







だけど、その日。




私の声は、仕事の都合で、枯れてました。






これから、入院生活に入る、おばしゃんに、なんの応援もできなかったのです。







親さえ、もう、だめかな、ってあきらめかけた私に、無償の期待をしてくれたおばしゃん。




今でも、コブクロの「蕾」を聴くと、




「この歌をおばしゃんにささげたかった!」





って、涙がとまらなくなるのです。