3D CG, CAD/CAM/3Dプリンタ な日常でつづる クルスの冒険ブログ

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「立体コピー」とか「3Dコピー」とか (その5 最終回)

2009年06月18日 | □3次元CAD私論

「立体コピー」とか「3Dコピー」とかの話を進めてくると、3D形状データというものの性質に立ち入ることになる。

これは、どうしてもそうなる。そしてそれは、CADもCGも地続きである話。底でつながってるんだね。

設計や製造の分野で3D CADを使えるようになると、すごく楽になることがある。
その代表のひとつが、断面図、アイソメ図を作ること。これがとんでもなく楽になる。
どの場所の断面も、どんな方向のアイソメも、パソコン任せでサクっと作れる。

それもそのはずだ。だって、3Dのカタチの情報があれば、断面やアイソメは「作る」ものではなく、
もともと持っている膨大な情報量の中から、その「ごく一部を抽出する(切り出す)」ってことだからだ。

言ってみれば、「描く」のではなく、「写す」だ。行為としては、写真を撮るのに近い。
 
情報の量は、「立体>面>線>点」 ・・・ね?断面を切り出したりアイソメを描くのは、右向きの方向だから、楽なの。
情報量で見ると、高解像度の画像のサイズを小さくする、ってことと一緒の方向だね。

でも、それとは逆の方向…「立体>面>線>点」右から左向きに行く作業というのは、大変なんだ。

そう、もとになる情報では足りないから、情報を補わなければならないからだ。

足りない情報を補う…という作業は、パソコンは苦手だ。
 
逆に、それをやれる存在が一つだけある… そう、「ヒト」ね。
今、「立体コピー」と言われてる作業では、ヒトが結構な手間をかけて、立体スキャナと立体プリンタの
間を取り持っている、というわけですよ。

「立体コピー」とか「3Dコピー」の話をまとめに入りますが、
 
要するに、「立体スキャナー」の情報だけでは「立体プリンター」は動作できない、
という点が事をややこしくしている、ってわけだ。

<まとめ>
○立体スキャナー(3Dスキャナ)は、コピーする物体の表面の点しか得られない

○立体プリンター(3Dプリンター)は点では動けない(断面が要る)
 
○立体スキャナー(3Dスキャナ)は、光を使うので撮影(測定)出来ない部分が必ずある

○立体スキャナー(3Dスキャナ)の情報から立体プリンター(3Dプリンター)が動ける情報を作るのは、自動化が難しい

だから、「立体コピー機」は作りにくい。← 結論。

最初に約束したとおり、
 
「もし、立体コピー機が作れるとしたら…」というお話をしましょう。
全然難しくない。

○顔なら顔、それ専用の立体コピー機なら、割と作れるでしょう。
 
です(笑)

立体スキャナは光を使います(レーザーもカメラも基本は光)。
光は直進しますから、陰になっている部分は測定(撮影)できません。
かならずどこかに、カタチの情報を取れない部分が出てきます。
 
その部分を、「ある程度自動的に」埋めてしまうアルゴリズムを作れば、いい、というわけです。
 
少なくとも、現在大きくヒトが介在して修正しているデータの作業を、ある程度自動化することは出来るでしょう。
 
ただし… 「顔専用の立体コピー機」とか、「電車専用の」とか、「ヒコーキ専用の」とか、
 
そういう限定的な性格に対して、「コピー機」というコトバを当てはめるのは、
 
…どうだろう?(笑)
 
相応しいだろうか?… 相応しくは、ないよね。
 
一番最初に戻りますけども、一般にイメージさせる言葉の意味を強引に当てはめようとすると、
誤解が生じて決して良いことばかり起こらない、と、私は思います。
 
「立体コピー」という行為のキモは…
 
「立体スキャナのデータを、どれだけ自動で、どう修正するか?」
 
で、ございます。
スキャナもプリンタも、あまり問題じゃありません。その間に、問題はあります。
(紙のコピー機に比べたら、時間がかかるという問題は残るけどね)

これまたいつもの、「結局、誰がどういうデータを作るかなんだよ」
という話だけどね。
 
…次は、もっと軽い話題やろう…
こういう話題は、アタマ使うから大変(笑)
 
ではまた。
 

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