3D CG, CAD/CAM/3Dプリンタ な日常でつづる クルスの冒険ブログ

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「立体コピー」とか「3Dコピー」とか (その4)

2009年06月13日 | □3次元CAD私論
どんなに簡単に書こうと思っても、難しいことは難しい(笑)
ただ、ウソになってしまうくらいならば、難しい方がいいと思うけれど。
とにかく始めちゃったからやらなきゃだ(笑)、行こう。

さて、前回の続き。回答からだ。
 
質問1: 昔の写メは解像度が低く、画質が悪いです。
その画質を高画質にするにはどうしたらいいでしょうか?

回答1: そんなのできないよ。できないから、あきらめる。
 
質問2: 画素数の多い高画質デジカメで撮った画像のファイルが大きくてこまっています。
このファイルサイズを小さくするにはどうすればよいでしょうか?
 
回答2: そんなのカンタンじゃね?ツールも沢山あるし、サイズを小さくするとかいくらでもあるね。

こんな感じじゃ、ないだろうかね?

誰でも分かる以上の話を言い換えると…
 
「解像度の低い写真をキレイにすることはできないけど、解像度の高い写真を軽くすることはカンタン」
 
つまり…

「沢山の情報を必要な分だけに間引くことはカンタンだけれども、
そもそも少ない情報を増やすことは出来ない、もしくは非常に困難」
 
ということなんだよね。わかるでしょ?
 
…さぁ、ここまで来たら気が付いてね(これはお願いだ 笑)

「情報の量」(=さっきので言う解像度だ)で見ると、

点 < 線 < 面 < 立体

なんだよ。

だから、より情報量の多い方… 例えば面から線を抽出することはカンタンだ。線から点も、同じ。

でも…問題はその逆なんだね。

点から線を作る、線から面を作る… というのは、かなり面倒なものなのだ。
 
なぜか? …うん、それは、
 
「そもそも足りない情報を補う作業」 だからだ。

「足りない情報を補う」とは… 「判断を要する」ということなんだよね。

足りない情報を補うには補うけれど、「どう補いますか?」という判断が必要になる。
 
こういうことだ。
 


この3つの点を通る線を描いてみようか。
 
こうかな?
 


それとも、こうかな?
 


これも、アリだ。
 


こっちも。
 


・・・どれがイイ?(笑)

そ、どれも正解、どれが間違いってわけじゃなく、どれもアタリだ。

つまり、「どれにする?」って判断が必要になる。

で、だ。
 
こういう、「いっぱいある点から線、面を作れ!」って作業はパソコンでやるんだけどさ。
 
パソコンってのは、
 
「判断の必要がない、決まったことをベラボウに速いスピードでやる」
 
というのには非常に向いている。だけどその逆
 
「自分で考えて、イイ感じにやって頂戴」

ってのが、最も苦手な仕事だ。…というか、ほとんど出来ない。
 
「イイ感じとは何か?」を指示されないと何も出来ないからなんだよね。
 
しかも、だ。

これが点が3つだからまだいい。
 
「立体コピー」「3Dコピー」ってことになると、膨大な点の集まりに対してこの判断と作業を行わなければ、ならない。
 
一言で言うと… 「すっごく難しいんだよ」(笑)ってことなんだ。

だから、

「イイ感じ」の線(ひいては立体)を作る…
 
というのと
 
「細かく点をスキャンする」
 
というのは、必ずしもイコールじゃないんだよね。
 
どちらを優先するのか?… って問題は必ず顔を出すものなんだ。
 
キレイな、滑らかな、自然な…カタチ… つまり「イイ感じ」の曲線は、
 
細かく点をスキャンすりゃ出来る、ってものじゃないからなんだ。
 
つまり、スキャンした点に対して、ある判断のもと、手心を加えないことには
「イイ感じ」のカタチにはならない。
 
…こうなると、どうだろう?3Dスキャンの「精度」ってのも …ね?(笑)

「イイ感じのカタチ」を作るには、スキャンの精度よりもむしろ、

スキャンした点の集まりを、どういう風に繋ぐ線を描くか?
 
の方が、より重要になって来たりするんだよ。
 
ぶっちゃけ、「高精度で大量に点をスキャンする」努力は、

必ずしも「イイ感じのカタチ」「スキャンしたカタチの再現性」とはあまり関係なかったりする。ホントだよ。

面白いでしょう?
 
以上のようにですね…
 
「カタチ」というのは、その情報の量で見ると、とっても理解し易くなる。
 
身近な話では…
 
「キャラ絵」 と 「フィギュア」ではどっちがカタチの情報が多いでしょう?
 
って話。
 
当然、立体(物体)である「フィギュア」の方がカタチの情報量は膨大に多い。
 
(おっと、「想像力」の話じゃないよ。別にキャラの作家やマンガ家を悪く言う話じゃないからね、ご注意を)
 
で。原型師、スゲーって思うじゃない?思うよね?
 
その「スゲー」には、手先の器用さもあるのだけれど、むしろ…
 
「絵から立体を作りだす」
 
つまり、「足りない情報を補って、立体を成立させる」という能力
 
に、みんな「スゲー」と思うわけなんだ。
 
「絵」である、つまり立体(物体)にするには全然情報の足りない「長門有希」を、
その足りない情報を補って、
誰が見たって「長門だね」、と思ってもらえる立体(物体)にする…
 
この能力と器用さを原型師は持っている… ってわけなんだ。
 
それと全く同じように、3Dのモデリングが出来る人っていうのは…

「絵」である、つまり立体(物体)にするには全然情報の足りない「秋山澪」を、
その足りない情報を補って、
誰が見たって「澪ちゃんだね」、と思ってもらえる立体データ(3D CG)にする…

ってことをやってるんだよ。 → 参考資料 
・・・難しい?(笑)
 
でも、こういった事を理解して突き抜けると、次の理解が待ってるから。
 
そうすると、新しいことが見えるようになるから。
 
ワタシたちが仕事にして来ている3D形状データのことを、
 
より多くのヒトに理解されたくて、

ワタシも頑張って書くからさ。
 
じゃ、次回で一旦最後にしよう。
 
またね。

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