3D CG, CAD/CAM/3Dプリンタ な日常でつづる クルスの冒険ブログ

このブログは引っ越しました!引っ越し先は…「とある思索の集合演算」と検索してみてください。よろしくお願いします。

「立体コピー」とか「3Dコピー」とか (その2)

2009年06月09日 | □3次元CAD私論

はい、第二回。つづき、だ。
 
前回は、「立体コピー」とか「3Dコピー」とかってのも紙のコピー機と同じく…

○3Dスキャナ(デジタイザ、とか測定機とも言う)
○3Dプリンタ(RP機とも言うね)

の2つの要素が組み合わされて行われる、と書いた。

で、前回はそのうち3Dスキャナの方を説明したんだね。
 
じゃ、今回は3Dプリンタの方、行こうか。
 
…これだ。
 


ちょ、まっ!待ってよ。マジメにやってんだって(笑)

ホントだよ、ソフトクリームの作り方を知ってれば、3Dプリンタ(立体プリンタ)の原理は大体分かる。
 
そもそもモノを作る方法って、ざっくり分類すると意外と少ないものだ。
(細かく見ると、果てしない宇宙のように広く深いけどね…)
 
・切る、削る、穴をあける…(切削)
・曲げる、ぐぃっと型に押し込む、溶かして型に流し込む(塑性変形)
・材料を積み上げる(積層)

以上3つ。大体が以上の3つに当てはまる。
ホントだよ。大きくは、こんなもんしかないんだ。
  
で。
 
3Dプリンタは、三番目の「積層」って方法だ。
 
何もないところに、作りたいと思うカタチに材料を積み上げてつくる、これ。
ね、ソフトクリームと同じでしょ?(笑)
 
ソフトクリームは、平面方向(XY軸、この場合左/右と手前/奥)を動かして丸を描きつつ…
垂直方向(Z軸、この場合は上/下)、つまり下に少しずつ動かしてつくる。

だよね?バイトでやったことがある人もいるでしょ?
  
ちょっと考えると分かると思うけど…
 
・切る、削る、穴をあける…(切削)
・曲げる、ぐぃっと型に押し込む、溶かして型に流し込む(塑性変形)

この2つは、まず材料があって、その「材料の表面」を相手にして加工するんだね。

ところが、
 
・材料を積み上げる(積層)

だけは、違う。積層は、「層」ってくらいのもんで、「材料の断面」を相手にして加工する。

ここが大きな違い。わかる?難しくないよ。
 
以上の事を「逆に言ってみよう」・・・そう!
 
・材料を積み上げる(積層)

は、作ろうと思うカタチの「断面が無いと作れない」・・・ってことだ。
 
そりゃそうだ。全ての断面を一層一層積み上げて作るのだから、断面の情報が無かったら作りようがない。
 
少なくとも、作ろうと思うカタチの最も外側の線が一本でつながっていなけりゃならない。
 
鋭い貴方はもうお気づきだろう…
 
3Dプリンタを使うには、「3Dのデータが必要」なのではなく、正確には

「作ろうと思うカタチの全ての断面情報が必要」



「その全ての断面を持っている情報の形式が…3Dの形状データしかない」

ってことなんだよね。そういう順番だ。
 
そう、立体ってのは断面の集積だ、とも考えられるわけだよ、うん。
 
実は数学なんだよね(笑)この話ってさ。でも、全然難しい話じゃない。

何度も何度もワタシが言って来ている

「3D CGでモデリングできる人は、3D CADが使えず製図しか書けない人よりも、ある意味では、製造業と親和性が高い」
 
「3D CGでモデリングが出来る人は、それだけで製造ポテンシャルを持っている」
 
その理由が、少し分かっていただけると思う。(と、いいな)

3D CGでモデリング出来る、ということは、「カタチを完全に定義出来る」ってことだからだね。

「立体プリンタ」「3Dプリンタ」は、そのことをとても端的に証明してくれる機械だ。
 
で。
 
「3Dプリンタ」「立体プリンタ」ってのは、元々はRP機なんて名前で呼ばれてて、
Rapid Prototyping(=素早い試作)って言われるジャンルの機械だ。
主には工業製品の試作用として発達して来た。
 
「3Dプリンタ」「立体プリンタ」には本当に沢山の種類があって、それぞれに利点・欠点がある。
 
当たり前だけど、そこはタダの機械だ。道具だね。
 
色々な種類があるけれど、
 
「作ろうと思うカタチの断面を、一層一層積み重ねて作るよ」

というのは全部共通してる。
 
何の材料を、どういう風に固めて積み上げるか? 

が、機械やメーカーによって違うだけのこと。これは特許なんかも絡む話だ。
 
この辺りの情報は、弊社のホームページにもそこそこ載っているので
ぜひご覧ください。
 
じゃ、これで「3Dスキャナ」「3Dプリンタ」の2つの要素が分かった。
 
次は、
 
「この2つの要素が揃っているのに、どうして3Dコピー機、立体コピー機はそうカンタンに出来上がらないのか?」
 
というお話に行きますよ。
 
繰り返しになるけど、「立体コピー」「3Dコピー」は、行為としては出来ますよ。
 
全然難しい話じゃない。現状では大変な「劣化コピー」にはなるけどね。
 
でも、紙のコピー機から連想されるような、スキャナとプリンタが一体となって、
 
自動で、手軽で、間違いがなく、安価で高品質な…
 
そういう「立体コピー機」「3Dコピー機」はできないよ、という話に行きます。
 
ご注意いただきたいのは、
 
別にワタシが「立体コピー機」や「3Dコピー機」が嫌いだとか、否定したいとかじゃない、ってことだ。
 
ワタシは、コトバの印象で技術が誤解をされてしまうのが嫌なんだよね。
 
本当のところをキチンと分かって欲しいから、書いてます。
 
ワタシは潔いので(笑)
 
「もし立体コピー機が作れるとしたら…」
 
という想定も書きます。
 
こんなにも複雑で、良く分からないチカラが作用する世の中だ。
 
せめて技術の話くらいは、印象だけの評価や誤解がまかり通って欲しくは、ない。

あらゆる技術が一般化することは道理だし、抗えないし、むしろ歓迎したい。

でも、印象だけの評価や誤解が大きいと、その技術の一般化そのものが阻害されてしまう危惧を、ワタシは持ってるのですね。
 
だから、ネットの世界は広大だけど、その片隅(隅という概念すらネットにゃないか…)であっても、本当のことを書いておこうと思ってるんです。

…書いてて思ったけど、このブログは、たぶん、RP機を販売している営業マンにこそ、お役に立つと思うよ(笑)ね?

そういう事で、…つづく~
 

最新の画像もっと見る