3D CG, CAD/CAM/3Dプリンタ な日常でつづる クルスの冒険ブログ

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どっちが勝つかCADシステム!

2005年09月22日 | □3次元CAD私論
 
本日、本気(マジ)工場では、とあるクルマ屋さんのナニをナニしております。。。
例によってお見せできなくて残念です。。。あー苦しい(笑)

さて、3次元CADのお話の続きですけど。

使用者から見たらどう見たって単なる道具にしか見えない…
CAD側から見たら、従来の道具と一緒の解釈をされてはかなわない…
この乖離が、設計用3次元CADの普及に実に多くの時間がかかってしまった正体で
あろうと考えています。CAD屋さんも言ってたんですけどね、プロセス変えましょうって。
でも、買う側にはいま一つ理解出来なかったんですよね。良し悪しではなく、そう
いう理解不足が双方にあったのです。

でも。
前回からズラズラとつづって来た内容にほとんど当てはまらず、3次元CADに取り
組んだ職場もあったんです。はてさて?

それは、複雑な3次元曲面を定義する・実際に作るというジャンルの仕事です。
金型屋さんとか、クルマのボディ屋さんとかです。ホントか?本当です。
理由はカンタン。3次元CADじゃないと、曲面の定義自体がすっごくやり難かった
からです。他にほとんど手段が無かったんですよね。手作り木型を脱した先には
倣い加工があって、すぐに3次元CADがあった…と(ほとんどね)。だって作らなき
ゃならないカタチには寸法じゃ定義できない部分がいっぱいあったんですから。
当然サーフェスから入りましたし、今でもこれらの仕事はサーフェスで用が足りて
しまう事の方が多いんです。

そういう職場をずっと抱えていたクルマ屋さんでは、製図のCADの発展した先に3次
元CADがあると思っていなかも知れませんね。だって、3次元のCAD(サーフェスで
すけど)は、製図のCADとほぼ同時期に導入され始まったんですから。場合によっ
ては、ドラフターで製図を書く隣で、サーフェイスの3次元CADを使っている、という
風景だって普通にあったのです。そもそも両者は、狙う効果が違ったんですね。

だから…(言うぞ言うぞ)ソリッド・フィーチャパラメトリックを謳って世に出て
きた新しいタイプの3次元CAD会社たちは、これら伝統的な3次元CADユーザを見て見
ぬふりをしたのでした(笑)当初は。ホントですよ。

なぜか?それらのユーザは、「道具」としての3次元CADをすでに10年ほど実践していた
からです。そして、ソリッド・フィーチャパラメトリックでは、いまだに伝統的な
3次元CADのユーザを満足させる事はできないでいるのです。
(あ、そもそもソリッド・フィーチャパラメトリックで出来る範囲で仕事をしてい
る会社は別ですよ、当然)

ところがね(笑)ここからが面白いハナシなんですけどね…
じゃあソリッド・フィーチャパラメトリックの時代に入る転換期に、転換の理由と
なったことは一体何だったでしょうか?言い換えれば
「ナニを売りにして3次元CADは売られたか、ナニを理由に買われたか?」
です。

それは、覚えている人はみんな覚えてる

・コンカレント・エンジニアリング
・形状の完全なる定義(曖昧さを無くす)

でした…

この続きは、またの機会に。次回は、歴史を整理しながらのお話にしましょう。
『カノッサの屈辱』風にするのはホネが折れるのでやめますが(笑)

 

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7 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
うちでは・・・ (造形太郎)
2005-09-22 20:17:10
懐かしく当時を思い出してしましました。

部品数の多い弊社では、「干渉チェックによる設計ミス回避」という売りで3Dを導入させました。

さすがにFEMと機構解析による事前チェックというのは未だに達成されていません。(苦笑)
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懐かしいですよね (本気(マジ)工場)
2005-09-23 15:15:02
コピー機などの部品点数が多くて、機構がある製品は、干渉チェックだけでも

相応に効果があったことと思います。

製図からの試作でも上手くいけばそれで良かった話なのですが、なかなか

そうは行かないものですから。



ただ、当時は干渉チェックの計算にもとても時間がかかり、面倒くさいから総当り

とかの計算をさせると、とっても遅かったのを思い出しますね。



昔、コピー機屋さんで3次元から試作したら試作一発目からちゃんと全ての扉が閉まった

ということで(笑)驚いていた、というのもありました。



一発目の試作から完成度が高いのなら、以前より少々モデリング(設計)に

時間がかかってもいいじゃないか…と考えた会社さんは、大正解なんじゃ

ないでしょうかね。



まぁ、こういった効果の出方は、「それ以前がどうだったか?」によって

本当に各社万別でした。製図で上手くいっていた会社さんや製品は、実感出来る効果

も薄かったかも知れません。
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打倒、経験者 (造形太郎)
2005-09-26 18:38:04
早速のコメントをありがとうございました。

そうなんです、実感できる効果なんですよね。

約10年前に導入担当だった私(ほぼ新人)に対し、熟練の設計屋さんは「3Dなんて使えるの?」とカラカイ半分で茶々を入れてきました。

それでも半強制的にCADAMをSolidedgeに切り替えちゃいました。(こんな若造が・・・)

その後、私の急な転属でアフターケアが出来なかったんですが、(なんといい加減な・・・)先日その設計屋さんに、「3Dどうですか?」と聞く機会がありました。

そうしたら、「もう3D無しでは考えられない。」だそうです。(笑)



結論:取っ掛かり乗り越えてしまえば、後は放っておいても3Dは重宝され普及する。(笑)
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そこですね! (本気(マジ)工場)
2005-09-27 17:10:48
3次元CAD(特に設計分野で)の普及に時間がかかってしまったのには、おっしゃるようにユーザにとってのメリットの打ち出し方、ユーザにとってのベンリさ、ユーザのモチベーションに訴えかけること…などをCAD屋さんが打ち出し切れずに、情報システム部に対してのセールス、マネージャにとってのセールス活動にのみ精を出したことが、理由のひとつにはあると思います。



造形太郎さんのように面倒見が良く、ユーザの利便性を分からせてくれるような情報システム担当者が居れば…随分と違っていたはずだと思いますよ。



そう思うと…お題目が何であれ、CADは使用者にとってのベンリな道具であるべき… という定義と、それを実感してもらうための真摯な取り組みこそが、最も大事だったようにも思います。

普及させたくて持ち出した「プロセス論」が、皮肉にも普及の限界を内包していた…のかも知れませんね。
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見せたいけど見せられない (造形太郎)
2005-09-27 19:57:32
当時、私は情報システム担当ではなく、CAE担当で、たまたま3D-CADを使えたという理由で3D導入担当をさせられていました。(安易な・・・)

ですが元が機械設計屋でかつ3Dが使えた分、設計業務に対し何が出来て何が出来ないかを即答できたのが社内の普及に繋がったのだと思います。

お気づきのように、たまに新3D-CADのデモで来られる担当者やお姉さんも、操作は分かっていても、具体的な設計業務についてはご存じないことが多く、筋金入りの設計者からはCADとしての性能より、サポートするための経験を疑問視されることが多かったです。

やはり、「経験に裏打ちされた具体的なメリット」を提示できるかが普及(商売)の鍵ですね。

そういう点で、具体例を公開できずに嘆いておられる御社の辛さが痛いほど良く分かります。(合掌)
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解析のお人ですね( ̄ー ̄) (本気(マジ)工場)
2005-09-28 12:23:33
造形様

当時、3次元やろう!となったときに、解析の方が任ぜられることは割と多かったです。これも、本編で書いているように3次元ユーザというのは元来CAEかCAMにずっと居た…ということの証明かと思います。CAMの人は遠くに居ることが多いので、いきおい設計の近くに居るCAEの人…というパターンは多かったです。その後、製図の人たちとの軋轢…とかも(笑)会社さんによっては、ありました(アワワ…)



我々の業界の弁護を一つさせてもらえるならば…

デモに来るCAD屋さんに設計の知識や経験が無い…というのはごもっともである反面、仕方なく、当たり前のことでもあります。(設計者ではありませんから)また、機械設計業務は本当に会社さんごとに違いがあり、そこに従事されている方々が他社は全く違う、という意識もほとんどお持ちで無い、という事情もあります。それもあって、ワタシは「CAD屋」という表現を好んでするのですね。(それにしたって知識無さ過ぎ、というのも分かります、イタイほど イタタ…)



ワタシが最も「それはイカンよね」と思うのは、むしろCAD屋さんが非常に安易に「私も設計者でしたから」とか言うことです。これは、世界の広さを知ればなかなか言えたものではなく、初めて会ったお客様とは何度も色々話すうちにやっとお互いのレベルやポイントが分かり、突っ込んだ話が出来る、ということもあるのです。



いずれにせよ、この厄介な、しかし魅惑的な商品=3次元CADは、売る側も買う側も、高いレベルでの知識や新しいものへの理解力を要求するものでは、ありました。

買う側も、「お前ら設計分かってない!」という視点だけでなく、「コイツらがやっている事は自分の仕事に置き換えたら何かメリットが…?」という視点で見ていただけると、より建設的な関係になったでしょう。そういう視点をお持ちの方々には、ワタシも大変に大変に、お世話になりました。



どこかでお会いしているかも知れませんね(笑)
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是非そのうち (造形太郎)
2005-09-28 17:52:50
私、生来の趣味が模型なもので、御社のモノ作りセミナーには大変興味があり、出張等で日が合えば、是非参加させていただこうと考えています。

その際は、宜しくお願いいたします。
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