3D CG, CAD/CAM/3Dプリンタ な日常でつづる クルスの冒険ブログ

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0.5の意味 ~もしくは最適なる道具論~

2007年02月22日 | □CAD/CAMな日々
 
本気(マジ)工場です。花粉症の皆さん…どうですか?(苦笑)
今年は早めですねぇ…ただ、例年よりも花粉飛散量が少なめ、というウワサもあり、ちょっと期待している本気(マジ)工場です。
 
さて。今日、本気(マジ)工場ではプレス向け発表を行いました。
 
~フィーチャーベースソリッドCAMパッケージソフトウエア 『CAMWorks』の日本における国内総販売代理店に!~

これだ。
まぁ、要は
「すごくイイCAD/CAMソフトがあるから、アメリカから輸入して日本で売ろうよ!」
ということだけなんです。で、ここまでの話だと、あっそう…な話なのですが、ほら、本気(マジ)工場には自社製CAMソフトウェアの『Craft MILL』があるわけでして。そこには少々説明が必要かも知れません。
 
一言で言っちゃうと、
「CAMっていっても、いろいろなんですよ…だからCraft MILLでカバーし切れないニーズにお応えするために別のパッケージが必要なんすよね」
って、ことだ。今日はその話など。

割と我が国のお客様事情として特徴的なのは、
「最適な道具を求め、オーバースペックを喜ばない」
ことだと思う。その中で使われ続けているのが、「2.5次元」とか「2.5軸」という概念。でもって厄介なのは、「何が2.5次元で、どこからが3次元か?」というようないつもの話題(笑)。ここには正解がなさそうなので「なんとなく皆がYesと言える範囲での解説」を試みてみましょう。
 
機械設計における形状の定義というものは、原則として「寸法」で完全に定義されるものが多い。というか、それをしないと形状を決めた事にならない。設計とはつまり、寸法によって形状を定義する行為、と思いっきり還元して言うことが出来ると思う。(だから、3Dによるモデリングは寸法系の話と造形系の話とに分けて考えると理解が早い)

で、寸法だ。つくる対象が「モノ」である以上、それが最終的には「3次元」として存在するようになるから、それ以前にも3次元で定義されている方がヨイに違いない、という考え方がある。まぁ、大きく異論はない。
一つ、言っておくことがあるとすれば、「完全な3次元じゃないくても、コト足りる形はいっぱいあるけどね」という事だ。
 
XY平面の情報だけでまぁ、ほぼカタチが決められるものの代表は「板」。板状の部品だ。当然これにも厚みがあるのだけれど、厚みは大抵一定だからその程度の情報は「注記」で定義して伝えればいい。これでOKだ。板に穴があっても大して情報は増えない。穴の径と種類、位置があればOK。フィーチャパラメトリックの3次元CADに慣れてしまったアタマには、「フィーチャが多いと重い…」とか言うけれど、製図なら同じ穴がどことどこに何個あるよん、というかいつまんだ情報でイイ。情報は大きく増えないという所以だ。

それ以上は、どうか?
これも、完全に3次元でなきゃならん…となるまでには、まだまだ段階がある。ボス、リブの類。曲がっている部分。つまりZ軸方向の情報が入って来るのだけど、これだって、「このカタチがZ方向に何ミリ…」という定義でカバー出来てしまうカタチは、実際すごく多い。

どうやら、2.5次元とか2.5軸…と呼ばれる状態は、
「完全に3次元情報を持てる訳ではないけど、必要となるZ軸方向の情報をある程度までは持てますよ…」
という事のようなんだな。なるほど。これが、「0.5の意味」みたい。

我が国のお客様の特徴は、ここの「ある程度必要なとこに関しては…」みたいな部分を、暫定的、妥協的と思わず、「シンプル、速い、ちょうどいい…」という風に肯定的に捕らえて評価出来ることだと思う。ほら、10万円以下で買える製図CADを、カスタマイズしてカスタマイスして、十分に使っている設計者はとても多いでしょ。つまり、事足りる…からだ。

で、この『CAMWorks』。線画から3次元加工しましょう…とか、そういうことがとても器用に出来る。そもそもモックアップとかデザイン的なモノづくりに特化して来たCraftMILLが3次元形状ありきで始まるのとは、好対照。

以上が、本気(マジ)工場がCAMをもう一つラインナップした、理由です。
要するに、ニーズが違うのでした。

ちょっと前、3次元CAD屋さんには、
「設計は、全て3次元で行われるようになり、製図CADは全て3次元に入れ替わる」
と言ってた人たちが、居た。いっぱい居た。当時から本気(マジ)工場はそれに懐疑的であったけれど、それは単にカンとかじゃなくて、実証している分野があるからだ。

「設計は全て3次元になる論者」をカンタンに論破してあげよう。

「じゃあさ、何で建築では3次元で設計するようにならないのさ?」

これに反論できる「3次元絶対論者」は、居ない。建築は、製図で事足りるからだ。だったら、機械設計でも事足りる分野は製図のままだろう… と。

…というか「3次元絶対論者」は、以前自分たちが言っていたことを忘れてしまっているか、大きくハズしてたから目を背けているか、のどちらかだけどね(笑)

 

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