昭和三丁目の真空管ラジオ カフェ

昭和30年代の真空管ラジオを紹介。
アンティークなラジオを中心とした、自由でお洒落な、なんちゃってワールド♪

『ブラック・プロパガンダ――謀略のラジオ』

2006-01-03 | ラジオ歴史
   『ブラック・プロパガンダ――謀略のラジオ』(山本 武利 著、岩波書店 刊)    


 近年、アフガニスタン、イラクで見られるアメリカによる「正義の戦争」というプロパガンダが復活している。政府による自国民に対する世論操作ばかりが、プロパガンダではない。敵国の大衆に向けたラジオ放送やビラの配布、亡命先から自国の民衆に向けた宣伝もある。 
 第二次世界大戦中、サイパン島が米軍に占領されると、同島から本土空襲の米軍機のみならず、中波で「新国民放送局」の名のもとに、日本語ラジオ番組が百二十四回にわたり送り出されていたことは、あまり知られていない。
 ブラック・プロパガンダとは対敵情報活動の一環であり、最近の表現でいうところのディスインフォメーションである。真の発信源を巧みに隠蔽しつつ欺瞞的なメッセージを敵対国に送り込んで、心理作戦を有利に展開しようとするのがその目的である。
 一方、ホワイト・プロパガンダというのは情報の出所が確認でき、メッセージも比較的正確度が高いものであり、冷戦期にアメリカが共産圏諸国に指向した「VOA Voice of America アメリカの声」が有名である。
「新国民放送局」は、米国CIAの前身であるOSS(戦略情報局)が総力を結集し、日本の反政府勢力が国内から発信しているように偽装し放送を続けた。約三十分間、日本の早期降伏を呼びかけるメッセージや、日本で放送禁止中の厭戦的、享楽的なナツメロが流された。
本書(『ブラック・プロパガンダ――謀略のラジオ』)は八〇年代から徐々に公開されたOSSの資料を基に、番組の製作者や内容、制作課程などを、既存の資料と突き合わせて解明した意欲的な研究書だ。
 短波放送の歴史を紐解くうえで、またコミュニケーションの側から見た新たな戦史を知るということでも一読をお勧めしたい本である。


あのぉ~、新年早々『謀略のラジオ』とかっていう恐いネタ、止めてほしいんですけど・・・。思いっきり引いてしまうんで・・・。(ユー)

最新の画像もっと見る