○ストコフスキ指揮ヒューストン交響楽団(EMI、ANGEL)1957/3・CD
ステレオ初期ならではの録音の不安定さがみられ、音場が左右に完全分離したり位置が混沌としたり、左から低弦が聞こえ出し次第に右に移ってくる1楽章にはのけぞった。ストコならやりかねないが単純な録音操作の綾だろう。スタジオ録音ならではの客観性、一種素っ気無さがあり、音はあっけらかんと明るく開放的な半面、憂いが無く思い入れも感じられない。直線的で山っ気がなく、爆発的な迫力もうねるような楽想の波も感じられずライヴに比べてはテンションが低く感じる。特に気になったのは緩徐楽章のスクリアビン的な妖しさが一切排されていることである。音色にもフレージングにも一切ワグネリズムの影響が出てこない。あっけらかんとしすぎて感動を得られないのは短縮版であるせいだけではあるまい。初心者には聞きやすいだろうが、民族性を求める向きには余り薦められない。
ステレオ初期ならではの録音の不安定さがみられ、音場が左右に完全分離したり位置が混沌としたり、左から低弦が聞こえ出し次第に右に移ってくる1楽章にはのけぞった。ストコならやりかねないが単純な録音操作の綾だろう。スタジオ録音ならではの客観性、一種素っ気無さがあり、音はあっけらかんと明るく開放的な半面、憂いが無く思い入れも感じられない。直線的で山っ気がなく、爆発的な迫力もうねるような楽想の波も感じられずライヴに比べてはテンションが低く感じる。特に気になったのは緩徐楽章のスクリアビン的な妖しさが一切排されていることである。音色にもフレージングにも一切ワグネリズムの影響が出てこない。あっけらかんとしすぎて感動を得られないのは短縮版であるせいだけではあるまい。初心者には聞きやすいだろうが、民族性を求める向きには余り薦められない。