湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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ラヴェル:ツィガーヌ

2005年02月23日 | ラヴェル
リッチ(Vn)アンセルメ指揮スイス・ロマンド管弦楽団(LONDON/KING)

ジプシー音楽というのはこの時代魅力的なジャンルであったらしい。演奏家が実際そのあたりの出自である場合も多かったのかもしれないが、弦楽器を名技的に扱う曲を書こうというとどうしても皆ジプシーヴァイオリンあたりの見世物サーカス的な超絶技巧音楽を無視できなかったのだろう。ラヴェルはリストのハンガリアン・ラプソディを意識したといわれるが、民族音楽的な要素をそれまで全く用いる事が無かったわけではないものの、ここまで前面に押し出した曲というのは他に無い。しかし書法はあくまで簡素で骨張っており、怜悧な響きはどんなに熱い演奏を繰り広げようともこの曲がロマン派の楽曲にはなり得ないことを示している。私などはラヴェルらしい旋律も魅力的な響きや流れもなくイマイチ惹かれないのだが、このどうも落ち着いた透明な演奏で聞くと、ちょっとシマノフスキの晩年のヴァイオリン曲を思い起こさせるところがあり魅力を感じなくも無い。リッチは上手いけれど音にちょっと魅力が無く、技巧はすぐれるが飛び抜けたものではない。所々響きは美しいけれど、この曲の感興を引き出した演奏とも、違った一面を引き出した演奏とも言い難く、結論としては録音はいいものの、無印とせざるをえない。
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