湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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シベリウス:交響曲第5番

2005年05月19日 | シベリウス
○チェリビダッケ指揮ミュンヒェン・フィル(RARE MOTH:CD-R)1992/11/8live

これは紛れもなくシベリウスである。このスケール、この響きの美しさ、実にシベリウス的な雄大な演奏だ。でも、シベ5か・・・?シベ5というとシベリウスのわかりやすい作品の上位にランクされる曲であり、人気曲の1、2番に比べて円熟した書法が駆使された隙の無い作品として頻繁に演奏される。ドラマティックな曲想に富みカタルシスが容易に得られるのも人気の理由だろう。だが、この演奏にはそういったドラマティックなシベリウスは現れない。ここには印象でいうならば北欧の広大な大地があり、肌の切れるような冷たい空気があり、空はどこまでも広く、そこに隅々までひびきわたるような音、シベリウスという存在の本質そのものの吼える声が聞かれるのである。だから構成感とかシナリオ作りとかいう部分を超越した演奏というか、もうひたすら横長に、しかし力強く響き渡るブラス(お疲れさま)の咆哮にもう、ああ、こういうシベリウスも絶対アリだな、と思うのだ。逆にシベ5にわかりやすさを求める人には向かない。4番で見られた印象派的手法が別の形・・・ドイツ的な演奏様式・・・であらわれた演奏ともいえるかもしれない。逆説的な言い方だがこんな盛り上がらない終演もあまりない。ほとんどウォルトンの1番のような空疎な終止和音の連打ににやりとさせられた。個人的に○。もう一度聞きたくなる、でも結局わからない、そういうちょっと面白い位置にいるものだ。チェリらしいし、チェリのシベリウスに対する読みの深さも感じる。

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