湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲第1番

2009年09月11日 | ドイツ・オーストリア
○タシュナー(Vn)アーベントロート指揮ベルリン・フィル(ANDROMEDA他)1944/12/16ベルリン・CD

極めて悪い録音のせいもあろうが、この人の音が私は苦手だ。金属質で尖っていて、弾き方も非常にキレていて短い音符には全て激烈なスタッカートがついているようなもの(このキレぶりはバックオケも同じ)、音程は完璧だし音量もやたらとでかいのだが、指揮者で言えばライナーの直球をトスカニーニふうに揺らしたような、ごく小さくも効果的で板についたアーティキュレーションでこうじるさまは確かに技術的な凄みや解釈再現の完璧さを印象づけるものの、これは音楽なのだろうか、と思ってしまう。いや音色は録音のせいかもしれない。でも弓の毛をビチビチに張ってギリギリ押し付けるようなドイツ的な奏法はオケプレイヤーや教師としては魅力的な業師ぶりを発揮しようものだが、ソリストとしては、何かが足りない。というか、上手いなあ、と思っているうちにだんだん、いらいらしてくる。性急な演奏はこの人の持ち味のようで、つんのめったようなテンポ感がしまいには技術的な限界を超えてしまうこともあり、左手指がこんがらがったような演奏になったり緩徐主題がメロメロに崩れる(それも解釈と言えばそれまでだが)感も否めない。この曲はそこまで難しいものではないから単純な曲でこそ腕を見せ付けるこの人らしい魅力が、ブラームスのシンフォニーを奏でるように真剣で素晴らしいバックオケとのアンサンブルあいまって重量級の愉しみは提供する。だから○にはしておく。しかし、もっと潤いが・・・

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2 Comments

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いや、笑えます (田豊)
2009-09-11 17:55:00
要するにタシュナーをあまりすかない様子を説明している様子が頭に浮かんで、失礼ながらほほえましいです。
「指揮者で言えばライナーの直球をトスカニーニふうに揺らしたような」・・・名言ですね。
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嫌いを説明する難しさ (管理人)
2009-09-11 19:09:06
批評なんて好きを説明するより嫌いを説明するほうが余程簡単な筈ですが、これは嫌いというよりわけわからないんですね。こういうブルッフは甘甘のオペラチックなものより聴きやすいけれど、ヴァイオリン独奏としてはどうなのか、かなり前に確かエントリした時より酷く耳が辛かった。板起こしが酷いのは理由の大部分として、奏法の概略は違ってないと思うのですが如何でしょう?現代曲弾きには多いタイプですかね。
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