湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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ラヴェルとロシア音楽

2006年07月21日 | Weblog
これはたんに身近な傍観者の叙述的証言にすぎないけれども、ただ主として若い頃の思い過ごしを文字にしるしただけのものにすぎないかもしれないけれども。カルヴォコレシはロシア音楽に傾倒し交流を持ちすぎていたけれども。ラヴェルは「異質」を何よりも愛し、「同化してこようとするもの」を嫌い、「プロフェッショナル」も愛した。

~ロシア音楽に対して、彼と私とは殆ど悉く同意した。我々はムソルグスキー、ボロディン並びにバラキレフを尊敬した。我々はリムスキー・コルサコフの音楽、特にその交響詩と初期の歌劇のいくつかを愛した。我々はチャイコフスキーに興味を持たず、またグラズノフの初期の作品・・・中にも、交響詩「森」、「ステンカ・ラージン」、「東洋的狂詩曲」及び第二、第三交響曲・・・を高く買った少数の人々に属した。もとより我々はそれらの作品の派生的性質には盲目でなかったが、しかもグラズノフが強い個性と見事な想像力とを発揮したことを感じた。

~音楽院の構内で再び出逢った。その時分に彼はまだフォーレの作曲のクラスにいた。そして私は技巧上の知識を磨くためにルルーの和声学のクラスに出席する許可を得ていたのであった。我々は最近に聴いた音楽のことを論じはじめた。その会話はロシア音楽の方に転じて行った。

「ラムルー演奏会の「タマール」を覚えている?」

私が突然こうたずねると、彼の目は輝いた。

「きれいだったなあ。」

そして私の驚き且つよろこんだことに、彼は直ぐ言葉を続けた。

「ねえ、僕はあれのピアノ連弾の譜を持ってるんだ。一緒に弾いてみようじゃないか。」

(カルヴォコレシ/太田黒訳「近代音楽回想録」一部現代語訳)
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