○オッテルロー指揮ハーグ・フィル(PHILIPS)
極めてドイツ風味の堅牢で押しの強い演奏。表現意思が強い演奏というのは気持ちがいい。骨太のドラマが展開される1楽章はまるでフルヴェンのブラームス(同曲と言わないのがミソ)。これはチャイ4嫌いの私でも楽しめる。激しいが決してだらしなくならない、またロジンスキ的に凝縮収斂するのでもなく、構築的でしっかりしたリズムの上に勇壮に展開される統制された音楽は、これがチャイコではないとけなす人がいれば私は喜んで「チャイコ」の方を捨てるだろう。2楽章の悲哀は美しい音色の中に男らしい強さを秘めている。テンポ変化がなかなか面白いが少し気まぐれな印象もある。逆にこれがオッテルローなのだが。弦のザッツの揃い方がハンパではない。とにかくオケも物凄い演奏でもある。ポルタメントの音量も絶妙でいやらしくならない「音楽的な」表現が清々しさをかもす。私のLPが何故かこの楽章の途中でB面に変わるのは大きなマイナス(初期盤だけか)。3楽章はエスプリに欠けるかもしれないが比較的しっかりしたリズム取りでドイツ式を好む人には向くだろう。重心の低い音作りが足枷か。4楽章はドヴォルザーク的でさすがに民族風味を抑え切れない。ここも爆発的な力感と派手な音響の半面やや構築性や解釈が先に立っており、前のめりで突き進むようなものを求めると食い足りなさを感じるかも知れないが緩徐主題の哀感は補って余りある印象深いもの。全体設計が余程うまくできていて、プレスト主題だけを聞きたいという人を除けばきっと何かしら心に残るものをもたらしてくれる佳演だ。録音の悪さを鑑みて○か。
極めてドイツ風味の堅牢で押しの強い演奏。表現意思が強い演奏というのは気持ちがいい。骨太のドラマが展開される1楽章はまるでフルヴェンのブラームス(同曲と言わないのがミソ)。これはチャイ4嫌いの私でも楽しめる。激しいが決してだらしなくならない、またロジンスキ的に凝縮収斂するのでもなく、構築的でしっかりしたリズムの上に勇壮に展開される統制された音楽は、これがチャイコではないとけなす人がいれば私は喜んで「チャイコ」の方を捨てるだろう。2楽章の悲哀は美しい音色の中に男らしい強さを秘めている。テンポ変化がなかなか面白いが少し気まぐれな印象もある。逆にこれがオッテルローなのだが。弦のザッツの揃い方がハンパではない。とにかくオケも物凄い演奏でもある。ポルタメントの音量も絶妙でいやらしくならない「音楽的な」表現が清々しさをかもす。私のLPが何故かこの楽章の途中でB面に変わるのは大きなマイナス(初期盤だけか)。3楽章はエスプリに欠けるかもしれないが比較的しっかりしたリズム取りでドイツ式を好む人には向くだろう。重心の低い音作りが足枷か。4楽章はドヴォルザーク的でさすがに民族風味を抑え切れない。ここも爆発的な力感と派手な音響の半面やや構築性や解釈が先に立っており、前のめりで突き進むようなものを求めると食い足りなさを感じるかも知れないが緩徐主題の哀感は補って余りある印象深いもの。全体設計が余程うまくできていて、プレスト主題だけを聞きたいという人を除けばきっと何かしら心に残るものをもたらしてくれる佳演だ。録音の悪さを鑑みて○か。