湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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ルーセル:ヘ調の組曲

2018年09月18日 | Weblog
ミュンシュ指揮ボストン交響楽団(BSO)1958/3/8放送live・CD

3曲からなる小品だが、ほぼ3番交響曲のミニチュアなのでミュンシュ向き。ミュンシュのルーセルは構造的に明確に書かれた作品に、肉付けし直して重量感ある前進力で聴かせきってしまう唯一無二の境地を示すもので、もっと録音の良いものもあるだろうが、どの録音も同じ、壮大なカタルシスを与えるものとなっている。ボロボロの音ではあるが一応ステレオで楽しめる精度の高い記録。二楽章サラバンド(およそイメージ通りの新古典主義的なサラバンドではない)のような晦渋な音楽はミュンシュはあまり得意ではないが、そのあとの祝祭的な行進曲への序奏部のジョリヴェ的な神秘が美しい。突進はややオケが危なっかしく感じる。ミュンシュの求心力が少し弱まり、纏めに走ったようなところもあるが、この楽章は楽天的になったオネゲルが書き散らかした作品といっても通用しそうな強固な構造があるので、打楽器で増強されるようになると気にならなくなる。主観的な崩しはできないが、弱音部の美しさはミュンシュがラヴェルの新しいセッション録音でみせたリリシズムを思わせる。客席反応はまあまあ。
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