湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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☆ストラヴィンスキー:ヴァイオリン協奏曲

2018年01月17日 | ストラヴィンスキー
○スタンスケ(Vn)作曲家指揮バーデンバーデン南西ドイツ放送交響楽団(M&A)1955/4/22放送live・CD

重音進行ばかりで一縷の隙も無い、ストラヴィンスキーのヴァイオリン曲特有のトリッキーな技巧のつぎ込まれた曲ではあるが、このソリストにとっては決して難度が高いわけではないと思う。しかし1楽章でどうもハイポジの音程が悪い。これは演奏自体の「色調」の変化に着目すると理由がわかるように思う。1楽章から2楽章第一部にかけてどうも、特にワルツふうの主題において「色気が出すぎている」・・・ウィーンふうというか、ベルクの協奏曲のような艶があらわれ、それはそれでこの無味乾燥な曲を非常に効果的な「音楽」に仕立てて魅力的な表現なのだが、ストラヴィンスキーの意図から外れていることは言うまでもない。

とにかく冒頭より四角四面のリズムが厳格に指示されているようで、もともと無理な運指が必要な書法であることもあり、ソリストの表現にかなり「窮屈さ」を感じさせる軋みが生じているのは、一方でよく感じ取れる。重音表現も荒々しく濁るが、アリアも後半になると抜けていく。そして音程も的確に、ただの「音」として、正確に表現されていくようになる。3楽章だけ冒頭の重音表現が短縮され単音による狂詩曲に変化するせいもあるが、音楽が軽くなり、新古典主義の曲であることが改めて印象付けられる。結果としてよくまとまった演奏になっており、雑味はあるが聴きやすい。四角四面と言ってもストラヴィンスキーの指揮には独特の野趣がありオケも非常にこなれている。環境雑音あり、○。

※2009-01-27 17:40:37の記事です

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