○チェリビダッケ指揮ナポリ・スカルラッティ管弦楽団(GRANDI CONCERTI他)1959LIVE
冒頭はやや重く、フォルム重視のしっかりした演奏であるがゆえに少し格式ばった感じがするが、厳しく律せられたオケ(巧い!)は弾むようなリズム表現で足踏みするようなテンポ感を抑えこんでおり、非常にバランスのとれた演奏になっている。チェリの後年の様式を思わせる非常に精度が高く形式的なしっかりしたものだが、情が通っている感覚があるのがいい。ヴァイオリンの微妙なポルタメントなど、イタリアオケの悪い癖が最小限に現れているのは逆に素晴らしい演奏効果となっている。最終楽章の勢いには圧倒される。それは壮年期のチェリのものだ。しかも、オケがこれだから、もう嬉しくなるような弾み心地に胸がすく思いがする。何度でも聴くに耐えうる演奏で、つまりそれは娯楽性が存分に発揮されながらも決してだらしない演奏ではないということを示している。本当に素晴らしい終楽章で、録音の良さというのもあるが、チェリ壮年期の何かしらドイツぽすぎる解釈というものが、この演奏この楽章にかんしていえば全く鼻につかない。ここだけをとったら間違いなく◎なのだが、やや古典的に(ハイドンよりベートーヴェン的に)格式ばった解釈が残ってしまっている他楽章のことを加味して○としておく、オケは満点だ。名演。ブラヴォが叫ばれてしかるべきである。ROCOCO盤は恐らく同じものだろう。但し恐ろしく音が悪い。
冒頭はやや重く、フォルム重視のしっかりした演奏であるがゆえに少し格式ばった感じがするが、厳しく律せられたオケ(巧い!)は弾むようなリズム表現で足踏みするようなテンポ感を抑えこんでおり、非常にバランスのとれた演奏になっている。チェリの後年の様式を思わせる非常に精度が高く形式的なしっかりしたものだが、情が通っている感覚があるのがいい。ヴァイオリンの微妙なポルタメントなど、イタリアオケの悪い癖が最小限に現れているのは逆に素晴らしい演奏効果となっている。最終楽章の勢いには圧倒される。それは壮年期のチェリのものだ。しかも、オケがこれだから、もう嬉しくなるような弾み心地に胸がすく思いがする。何度でも聴くに耐えうる演奏で、つまりそれは娯楽性が存分に発揮されながらも決してだらしない演奏ではないということを示している。本当に素晴らしい終楽章で、録音の良さというのもあるが、チェリ壮年期の何かしらドイツぽすぎる解釈というものが、この演奏この楽章にかんしていえば全く鼻につかない。ここだけをとったら間違いなく◎なのだが、やや古典的に(ハイドンよりベートーヴェン的に)格式ばった解釈が残ってしまっている他楽章のことを加味して○としておく、オケは満点だ。名演。ブラヴォが叫ばれてしかるべきである。ROCOCO盤は恐らく同じものだろう。但し恐ろしく音が悪い。