湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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マーラー:交響曲第10番~Ⅰ

2006年06月10日 | マーラー
ギーレン指揮SWR交響楽団(バーデン・バーデン)(HANSSLER)1989/11/16、17・CD

ギーレンもやたらとマーラーを振っており今はクック版に取り組んだりしているが、このころはロスバウトの流れをくみ、ブーレーズとはまた違う暗く冷たいオケを使ったザクザクした人工的な彫刻が、また新鮮に感じられたものだ。しかし今改めてこれをきくと、どうだろう、人工的なわりに整えかたが甘いというか雑な感じを受ける。仕上げを施していない未完成の芸術品、という印象だ。これがアダージオだけの録音なだけに、他の指揮者の施すような、「これでとりあえずマーラーの絶筆」という「完成感」がない。美的に消えゆく末期すらない、聞く者は不完全燃焼になってしまうのだ。むろん変な文学情緒的解釈を入れず純粋に絶筆スコアを音にした卓見と言えばそれまでなのだが、そのわりにテンポ操作なんかが機械的で恣意性を感じさせるんですよね。。現役で素晴らしい演奏を聞かせてくれる人だからこれにこだわることもあるまい、無印。マーラーの広大な立体音響感覚は往々にして舞台の指揮台の上でのもの、という感じが強い。この曲の録音も難しいだろうな、とくにこのようなスタジオ録りでは。雑なイメージは録音のせいなのか?
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