湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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サン・サーンス:交響曲第3番「オルガン付」

2007年11月27日 | フランス
○ミュンシュ指揮ボストン交響楽団(DA:CD-R)1963?/2/2live

サンサンは古めかしいけど男らしい旋律や意表を衝いた転調が素晴らしくカッコよかったりする。ワグナーだろうなあ、フランクよりもワグナーに近い。ベートーヴェンやブラームスの世界の延長上という意味ではロシア折衷派の交響曲にも近い。録音は無茶いい。オルガンの響きもよくとらえられている。よすぎるがゆえに偽演な気もしてしまうのは最後のフラブラのわざとらしい重なりかたからきている感想だが途中環境雑音をかんがみると良好なエアチェックと考えるべきか、そもそもマスターものか。パイプオルガンの導入は賛否あるが、古風な響きに重なるさまは奇妙にマッチして面白い。サンサンはけっこうこういう冒険をする職人作曲家だ。コテコテのロマン派音楽に古典派の教会向けオルガン曲をかぶせたよう。ピアノの導入もまたあざといくらいに効果的である。このへんが後代の先鋭な職業作曲家にも一目置かれていたゆえんだろう。じっさい交響曲でピアノの走句を効果的に導入するという実験はいろんな20世紀作曲家、特にロシア人たちに受け継がれてゆく。ミュンシュは殆ど音楽と同化し、内部からひたすらドライヴし締め上げていく感じ。ブラームス的に緊密な2楽章第一部ではきほんアグレッシブで、緩徐部の「半音階旋律」でも余り感傷的な表現がみられないが、これがミュンシュだろう。爆笑問題のCMでお馴染み、まさに教会音楽的な古風な壮大さを煽る2部でのオルガンはやはり圧倒的で、その後ミュンシュの手をもってしても「竜頭蛇尾」的なすぼまり感は否めないが、そこそこ盛り上がり暖かいフラ拍手で終わる。○。

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12 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
そうですか (管理人)
2007-12-04 22:24:18
アナログ盤のがよさそうですね。。BSOは音がだいたい予想がついてしまうので、その点NYPはいいかもわからないですね。
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NYPO (サンセバスチャン)
2007-12-04 08:58:37
そういえば、NYPOとの旧録、初期版LPで持ってます。そんなに悪い音ではありません。演奏は甲乙付けがたい立派なものです。ボストンよりもいいかも?
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オリエンタリズム (管理人)
2007-12-03 13:47:16
サン・サーンスはアカデミックな音楽へのオリエンタリズム導入の急先鋒だった一面があります。リムスキー・コルサコフほど大胆ではなかったにせよ、そういう見られ方をしていましたね。。
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Unknown (サンセバスチャン)
2007-12-03 10:58:11
エジプト風は5番ですね。エジプトブームがあったんでしょうか。アイーダとか。
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やはり人気作? (管理人)
2007-11-30 20:20:58
コメントが伸びますねw

>サンセバスチャンさん

CINCINと同じ音源の可能性大ですね。63年にやる可能性はなきにしもあらずだとは思います(オルガン付はなんだかんだいってもミュンシュの十八番と見られてたみたいですし

現役で出ているNYPの旧録を聴いたことがないですが、ミュンシュの旧いものは音悪いですしね。。

ピアノ協奏曲は有名ですけど馴染み無いです。みんなリストに聴こえます(暴論)エジプト風、って何番でしたっけ?ピアノは新しい録音に限るかもですね、テクニックの面で旧い人には一短あります。音の分離がはっきりしてないと・・・

>けんさん

この音源は三つにトラックが分かれてましたwそうする意味があるのでしょうけど、、どうでもいいですねw
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2楽章4部構成だよ (けん)
2007-11-30 18:13:39
どう聞いていても4楽章構成だと思うのだけどね。
ま、これは作曲者がこうなんだと言えばそうなんですよw
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CIN CINは62年 (サンセバスチャン)
2007-11-30 17:27:55
CIN CINは62年と表記されていました。62年にやって、また63年(音楽監督勇退後)にもやるかなあ。幻想やラ・メールじやないし。
先日、FMでサン=サーンスの4盤協奏曲を若手ピアニストで聴きましたがなかなか良かったです。コルトーしか知らないので、新鮮でした。
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そういえば (管理人)
2007-11-30 11:27:26
4楽章構成のように書いてしまいましたが2?3?で2部構成でしたっけ。PCからあとでなおしておきます。別に4楽章構成に聞こえなくもないですが。
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そうですね (管理人)
2007-11-30 08:54:25
それはかんじました。でも音盤は想像力で補うものなので、あまり得意ではない曲なこともあり、とりあえずこれでいいか、と。カラヤンでしたっけ合成。あれとか実演でも録音やシンセを使うことが多いゆえ、ほんとうのオルガンで聴けたら違うんでしょうね。すさまじくやりにくいといいますけど、オケ。
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この曲はCDじゃ駄目なの (けん)
2007-11-30 06:31:39
マスターもアナログで音盤もLPでないと。
そうしないと1楽章第2部の重低音が持続できない。
CDは最初のブンで終わる。
23Hzだったかな、ちょっと忘れたけど、オルガンの太いパイプの音を出そうと思ったらCDには限界があるのだ。
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ピアニスト作曲家の手練 (管理人)
2007-11-28 09:41:13
ピアノやオルガンという鍵盤楽器の利用はサンサンが当代きってのピアニストでもあったためでしょうね。この曲がなぜこれほど人気があるのか今もわかりませんが、ミュンシュで聞くと確かに特有の魅力がわかりやすく引き出されます。CINCINは初耳です、データの混乱が双方ありうるレーベルですので同じ可能性もありますね。
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CIN CIN (サンセバスチャン)
2007-11-28 09:10:35
これってCIN CIN盤とは別物みたいですね。あれは最後に物凄いフェルマータをかけて、感極まって拍手がはじまるなか更に音を伸ばしていました。
この音楽と同化し、内面から構築していくところがミュンシュであり、職人的なお手軽感を感じさせないところが凄いと思います。
最初、ミュンシュの演奏で聴いたときですら、何て公式みたいな曲だろうと馬鹿にしてしまいました。今は結構好きです。リストのピアノ協奏曲と良く似ていますが、あちらはもっと品がないなあ。
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