湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

※旧ブログの一部コラム・記事、全画像は移植していません。こちらのコンテンツとして残します。

ヴォーン・ウィリアムズ:交響曲第6番

2012年11月28日 | ヴォーン・ウィリアムズ
◎マリナー指揮セントマーチン・イン・ザ・フィールズ(collins)CD

平穏な5番とのカップリングだが結構起伏を持たせて聴かせる。全体的に調和のとれたオケの響きが印象的で、RVWの立体的な書法を単純化せず良い部分のみ注意深く組み合わせて純音楽的にまとめ上げているのは素晴らしい。1楽章はまっとうで派手すぎもせず模範的だが、描写的な2楽章を「描写的ではなく」表現しているのはRVWの意思を尊重しているようで良い。進軍ラッパやキャタピラの音もそうとわからせることはなく、モデラート楽章をただ不安で包み込むのではなく、音楽的にきちんとまとめ上げている。3楽章が凄い。ブラスが中心となってヒンデミット的構造を誇示するスケルツォは派手にぶっ放すバルビ的なやり方をされることが多いと思うがそれだと癖のあるRVWの響きが耳について嫌気がさすことがある。ここでは明晰な録音のせいもあろうが下支えをする弦楽器のスケール的な刻みであるとか木管の走句であるとかいちいちはっきりと認識でき、決して上手いとは言われないRVWの管弦楽法の意外なプロフェッショナリズムを堪能できる。ブラスはブラスでこのオケは余り派手なほうではないけれどアルトサックスから提示される第二主題からしてノリノリ。終楽章は逆に弦楽器が主体となりRVWらしい横の流れの折り重なる中でしめやかに、しかし全楽章とのバランスを崩さず、コントラストをいたずらにあおることもなく終結していく。この楽章、現代のミステリ系映画音楽に通じるところがあるなあと思った。そんなことを考えさせるくらい客観性も保たれている。

Comment    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ミヨー:バレエ音楽「屋根の... | TOP | ニーノ・ロータ:愛のカンツ... »
最新の画像もっと見る

post a comment

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Recent Entries | ヴォーン・ウィリアムズ