湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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ラヴェル:ピアノ三重奏曲

2007年01月17日 | ラヴェル
○ハイフェッツ(Vn)ピアティゴルスキー(Vc)ルービンシュタイン(P)(RCA,BMG)1950/8/28・CD

百万ドルトリオは必ずしもバランスのとれた団体ではない。典型的な一流ソリストによる「話題性先行」の売り方を「アメリカで」された団体で、かつ恐らく史上もっとも恐ろしい高レベルの技巧派ソリストのそろった「一定期間ちゃんと活動した」アンサンブル団体でもある。ロシアの「オレオレ」自己主張ソリストアンサンブルとは違いバラバラ感はなく、当時流行の「トスカニーニ様式」というか、速いテンポでさっさと、力強く進めていくスタイルにのっとって緊密な演奏にはなっているのだが、天性の「魅力」でいけばやはりこの三人には差がある。・・・とどのつまり、ハイフェッツが凄すぎるのだ。もっとも結構アバウトな演奏も行った人であり、現代的な視点からすれば「もうワンテイク」と言われたかもしれないギリギリな場面もあるのだが、そういった点ではルビンシュタインとて同じであり(カップリングのチャイコではてきとうに流すところでは細かい音をごまかしてたりもするがこれはこの録音に限ったことでは無いらしい)、いちばん実直にきっちり弾いているのはピアティゴルスキーなのだが、一方で魅力の点ではピアティゴルスキーがいちばん劣っているといわざるを得ない。音色と迫力の点で物足りなさを感じることしきりであり、ただ、たぶんこれは録音バランスのせいもあると思う。二人の名手に音量バランス的な遠慮がみられるのである。再生機器でチェロを強調してみよう。恐らく決して二人に負けては居まい(勝つこともないだろうが)。ピアノトリオはきほん、アンサンブルというより三人のソリストのバトルといった側面の強い編成である。ラヴェルにおいては三人が機械的に割り振られたフレーズをモザイク状にあてはめていくような、一本で練習するととても寂しい楽曲になってしまうものになっている。ここでは余り得意としていたとは思えないルビンシュタインが意外とリリカルな表現をみせ、スペインふう、ヴィニェスふうの雰囲気を持ち込んでラヴェルにダイレクトに当たる軽い洒落た演奏振りをみせているがやや引き気味でもある。ハイフェッツは雄弁すぎて他を圧倒しすぎ。ピアティゴルスキーは何をやっているのかよくわからなくなるところがあるが弾けてはいるのである。悪くはないが、感動的な曲のはずなのに何も残らない、しいていえばやはりルビンシュタインの表現に尽きるか。○。

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