湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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ほん:「クラシック私だけの1001曲」

2008年02月27日 | Weblog
宮城谷昌光著、新潮社

・・・あきれる本。たくさん書けばいいというものではない、巫戯けている。別に素人がいちいち細かく調べて論文のようなものを書く必要はないが、これはいくらなんでも、という浅慮や浅知識の項が多く読むに耐えない。私が言うのもアレだが、作曲家への冒涜、作品への冒涜、そして演奏家への冒涜とすらとれる根拠のない断定文や、感想とすら言えない殴り書きさえある。聴いていない盤にかんする記述など(昔はよくあったけど)呆れるばかりである。マニア向けムック本の出版社ならともかく、新潮社?ようは中身ではなくネームで本を書かせる出版社ということか。これは編集サイドのノーチェックな態度にも問題があると言わざるを得ない。1年半の聴き込みで書けるのは100曲がせいぜいだ。1000曲なら15年はかけるべきなのだ。

こういう個人的趣味の色の強い「一見啓蒙本に見える感想集」は序でご本人が書かれているとおり、初心者は極力避けた方が良い。著者は批判的態度の根幹に己の主観を臆面も無く置いている。言論者としては当然の態度である。そこをわかって、自分の主軸と照らし合わせて「感性が合えば」読むが吉である。私のように完全に合わなければ、以上参せず手許より離すべきだろう。

何を書いても、まあ、各個の文章が面白ければまだしもね・・・ロシア好きを標榜しておきながらリャプノフの一つも書いて無いとはこりゃまたどうしたことだ。
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4 Comments

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私は結構面白く読みました (サンセバスチャン)
2008-02-28 10:53:06
この人の小説、それなりに面白く読めますが、アンティクライマックス的というか、どの本も淡々とした感じです。生々しさが全くない。どうしてだろう?
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小説家の余技 (管理人)
2008-02-28 11:01:56
書きすぎで体調を崩したりしていたそうですので、オーバーワークだったんでしょうね。。

ただ、どうも入り込めない。

この本を面白く読める、ということは客観的に読めているということでいいと思います、私は私の守備範囲のものをざっと読んだのですが、たとえばエルガーやミヨーの項、ひどすぎです。アイヴズを理解してほしいとは思いませんが、又聞きのうろ覚えで誤認スレスレのところはやはりどうも、受け容れ難い。
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はは~見なくてもよさそう。 (田豊)
2008-02-29 10:33:12
この本は、パスみたいですね。
今度、盤鬼の平林さんが、初演奏、初録音についての本を出されるとか。
付録があるといいな~
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それは興味深いですね (管理人)
2008-02-29 10:50:44
資料としておもしろそうですね。氏には研究書と一般書を分けて書いてほしいなあ。どうもその真ん中で結局狭いマニアしか対象にできていない。後者はなるべくエッジをたてず古い盤の魅力にいざない、しかし古いからといって皆良いわけはないというふうにまとめてほしい。クラシックコーナーの狭い世界から脱してほしいなあ。
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