湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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☆マーラー:交響曲第9番

2017年06月28日 | マーラー
○ジュリーニ指揮ウィーン交響楽団(sardana:CD-R)1975LIVE

ジュリーニの9番は評判に違わず良いものだ。即物的な演奏に飽きたらゆったりとした、そこはかとない歌心あるジュリーニの演奏に身を浸すとよいだろう。といってもこの時期のジュリーニはまだ壮年の激しさを維持しており、ワルター晩年のような巨匠様式の透明感ある世界ではなく、かといって過度にロマンティックでもなく、テンポ的にも速めなのだが。有機的な1楽章は表情の深さで耳を打つ。ゆったりとした、しなやかな音はウィーンならではでこの盤の価値を示すものだ。しっくりくる演奏で、9番の本来の持ち味が殊更にドラマを煽らずに生かされている。素晴らしい。2楽章はかなり音が悪く聴きづらい。エアチェックものならではの弱さだろう。4楽章でも聴きづらい場面がある。中間楽章は共に遅く鈍重な感もある。このあたりは好き好きとも言えるが本来はこれでいいと思う。余り速いのは内容的に意図ではなかったのではないか。4楽章は速めだが表現は自然な起伏があり人間的な美しさがある。けっして無機的な美しさではない。ただ、カンタービレともまた違うと思う。教会音楽ふうの雰囲気は確かに維持している。ウィーン響はむせかえるような甘い音こそないものの、オケ本来の滋味を効かせた深情の篭ったフレージングで自然に聞かせる。丹念ではないがそこがまたいいところでもある。もうちょっと艶のある音色が欲しいところもあるが、ニュートラルな音がジュリーニの意図だったのかもしれない。ライヴ自体はそこそこ成功していたような拍手の反応である。○。エアチェックテープ特有の録音よれあり。

※2006/3/14の記事です
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