湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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☆ラヴェル:左手のためのピアノ協奏曲

2018年01月06日 | ラヴェル
○バシュキーロフ(P)ドゥブロフスキー指揮モスクワ・フィル(RCD)1965・CD

深みは一切無い。ピアノの音色は単調で乱暴だ。でもここまで圧倒的な暴力で迫ってくる「左手」があっただろうか?これはぜひ音をソリッドに設定してガッツンガッツン聞いてもらいたい。ロマンティックすぎるだろ、という重い冒頭、既に大仰な表現でロシアの野暮を感じさせるが、しかし退屈でもあるこのワンフレーズの序奏の表現力からして凄まじく(小さい音で聞いたら何も聞こえてこないたぐいの悪い録音(モノ)なので気をつけて!)、そこから何の憂いもなく鍵盤に指を叩きつける若きバシュキーロフ先生、まるで重い鋼鉄のような、指が何で壊れないのかわからないくらいの力強くも冷たい響きが何故か異様な説得力をもって迫ってくるのだ。終始同じ音色で同じトーンではあるが、解釈表現が凡庸というわけでもなく、実は何も考えてないだけなのかもしれないが、その奇怪さが面白い。これはクロード・カサドシュとも違うし、現代のバリ弾き小僧とも違うし、何なんだろう?ロシアン・ラヴェルだ。勿論ヴィトゲンシュタイン風の前近代のロマンティックな味付けをしたものでもない。主部の少しの惑いもない(フランスの演奏家はここで指がもつれるような惑いを示す者が多い)非常にリズミカルな突進は特筆ものだ。なんなんだろう、この物凄さは。音がよければもっと楽しめたのに、どうも録音が心もとなく、ちょっと腰折れではあるが折角のモスクワ・フィルの伴奏(やはり管が巧い)スヴェトラとも違う独特の無骨な解釈ともども、聞いて損はないだろう。ただ、ラヴェルのファンにはお勧めしないが。○。

※2006-01-08 12:27:26の記事です
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