○ダムロッシュ指揮NYP(BIDDULCH)1928/1/4~6・CD

正確には統合前のニューヨーク・シンフォニー。堅実で揺れの無い解釈にポルタメントだらけの情緒てんめんな弦が乗るが、総合して面白みはない。かなりドイツ臭い剛健な造りをしていて、妙に楽天的というかアメリカンな音色(SPの復刻次第なんでしょうが)だけを武器として直進を続けるさまはいささか地味にすぎる。しかし速いテンポに鋭いリズム感をもって煽る4楽章に聴ける要素はあり、最後まで近視眼的なルバートはいっさい無いのだが、なんともいえない浮き立つ感覚が愉快だ。だから○ひとつにしておく。SP復刻というのはノイズ除去をしくじると音を骨抜きにしてしまい、特有のクリアで鋭い音を非力で聞き辛いぼやけたものに化かしてしまう。演奏自体にそういう印象を付加してしまう。これはややその気がある。

○ミトロプーロス指揮NYP(CON MOTO:CD-R)1952/11/2LIVE
しっかりした構成感を持ったうえで躍動する音楽。1楽章から圧倒的なオケの合奏力に感服させられる。ムラのあるオケとされることも多いがミトプーの元でもこんなにも一体感のある音楽を作り上げることが実はできたのだ。ブラームスのようにカッチリした曲だからこそのレベルの高さも感じるがそれだけではあるまい。2楽章の憧れに満ちた響きもどうだろう、緩やかな楽章だってうまくやれるのだ。感傷的なグダグダに陥らない、すこぶる幸せな曲の気分を存分に味わわせてくれる。構造のための挿入句のような詰まらない内声のフレーズも疎かにしないからこのまとまりが出るのだ。4楽章は短い序奏のあといきなり物凄い迫力で爆発。速いし激していく指揮者がわかる。そのため多少流れるし極めて瞬間的なコントラストを意図したかのような第2主題の異常な遅さはいつものミトプーそのもののやりかたで、ブ厚い弦の旋律が壮大だ。激しい音楽はかなりのカタルシスをあたえながらガシガシ進んでいく。スピットな変化をアクセントに織り交ぜて豪奢なフィナーレにむかう音楽の前進力こそミトプーの命。拍手が最初だけで切れているがブラヴォ来ただろう。録音悪く○。
※2004年以前の記事です

正確には統合前のニューヨーク・シンフォニー。堅実で揺れの無い解釈にポルタメントだらけの情緒てんめんな弦が乗るが、総合して面白みはない。かなりドイツ臭い剛健な造りをしていて、妙に楽天的というかアメリカンな音色(SPの復刻次第なんでしょうが)だけを武器として直進を続けるさまはいささか地味にすぎる。しかし速いテンポに鋭いリズム感をもって煽る4楽章に聴ける要素はあり、最後まで近視眼的なルバートはいっさい無いのだが、なんともいえない浮き立つ感覚が愉快だ。だから○ひとつにしておく。SP復刻というのはノイズ除去をしくじると音を骨抜きにしてしまい、特有のクリアで鋭い音を非力で聞き辛いぼやけたものに化かしてしまう。演奏自体にそういう印象を付加してしまう。これはややその気がある。

○ミトロプーロス指揮NYP(CON MOTO:CD-R)1952/11/2LIVE
しっかりした構成感を持ったうえで躍動する音楽。1楽章から圧倒的なオケの合奏力に感服させられる。ムラのあるオケとされることも多いがミトプーの元でもこんなにも一体感のある音楽を作り上げることが実はできたのだ。ブラームスのようにカッチリした曲だからこそのレベルの高さも感じるがそれだけではあるまい。2楽章の憧れに満ちた響きもどうだろう、緩やかな楽章だってうまくやれるのだ。感傷的なグダグダに陥らない、すこぶる幸せな曲の気分を存分に味わわせてくれる。構造のための挿入句のような詰まらない内声のフレーズも疎かにしないからこのまとまりが出るのだ。4楽章は短い序奏のあといきなり物凄い迫力で爆発。速いし激していく指揮者がわかる。そのため多少流れるし極めて瞬間的なコントラストを意図したかのような第2主題の異常な遅さはいつものミトプーそのもののやりかたで、ブ厚い弦の旋律が壮大だ。激しい音楽はかなりのカタルシスをあたえながらガシガシ進んでいく。スピットな変化をアクセントに織り交ぜて豪奢なフィナーレにむかう音楽の前進力こそミトプーの命。拍手が最初だけで切れているがブラヴォ来ただろう。録音悪く○。
※2004年以前の記事です