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湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

※旧ブログの一部コラム・記事、全画像は移植していません。こちらのコンテンツとして残します。

ワグナー:トリスタンとイゾルデ 前奏曲と愛の死

2005年04月09日 | その他古典等
○ゴロワノフ指揮モスクワ放送交響楽団(seven seas他)1950/10/3・CD

比較的まともな方の演奏だろう。思い入れたっぷりの演奏ぶりが鼻につかない程度に納まっている。ロシア奏法の多用については今更どうこう言う筋合いの指揮者ではないが、この曲ではそんなに気にならない。しいて言えば独自解釈が入って違和感を感じさせる部分がある程度で、これも彼なりの演奏効果を狙った演出であり、曲を知らなければすんなり聞けると思う。ようは自国の演奏家だけによってクラシック音楽の歴史を全て再生させなければならなかったソヴィエトという一種鎖国体制の中で奇形化していった、もしくは内的にぐつぐつ熟成されていった表現の極みがゴロワノフのような指揮者の解釈であり、ロシアオケの個性なのである。決して奇抜さを狙ったわけでもなく、彼等は真剣そのもの、われわれはただスコアとの違いや音表現の違和感のみに失笑するような愚かな評価を、彼等に対して下すべきではない。○。
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ワグナー:ニュールンベルクのマイスタージンガー1幕への前奏曲

2005年04月09日 | その他古典等
ゴロワノフ指揮モスクワ放送交響楽団(seven seas他)1951/12/16・CD

「ソヴィエトでは」ワグナー指揮者として知られたゴロワノフでワグナー集も何度かCD化されている。これはその中でもト印のつく演奏。逆に言うといつものゴロワノフ全開で、ライヴでもないのに雑。ブラス各人が自己主張しすぎで、まるでラフレシアで花束を作ったように毒々しくうるさい。激しく突き進むがトスカニーニのように制御されたテンポではなくもう思うが侭にどんどん先へいくようなテンポ感はまるでアマチュアのよう。面白がる以前にこの曲の様式美とかそういうものを考えてしまった。これはちとやりすぎか。無印。
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パイパー:交響曲第3番

2005年03月14日 | その他古典等
○モントゥ指揮ACO(ACO)1969/10/30・CD

六人組+ストラヴィンスキー×アメリカのような曲。特にオネゲルとミヨーからの影響が強いように思われる。楽想には独特のものがあり決して模倣ではないのだが、音の重ねかたや弦の分厚い和声の作り方にミヨーを感じて仕方なかった。ストラヴィンスキー的という個所はそれこそ結構あるが部分部分に限られる感も強く、たとえばいきなりヴァイオリンのグリッサンドで奇異さを煽るところなどもストラヴィンスキーの硬質な手法を思わせる。散漫な楽想で後半になってくると結構わけがわからないとりとめのなさも感じるが、曲自体が短いのでそう気にはならないだろう。まあ、六人組の範疇の現代曲といった感じである。最後がなんだか変な終わり方。モントゥは無難、セルみたいな凝縮力がないぶんやや聞き応えは落ちるかもしれない。もっとも同じ曲で比較しないと意味は無いのだが。おまけで○。
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レーウ:古風な楽章

2005年03月14日 | その他古典等
○セル指揮ACO(ACO)1960/12/8・CD

なかなか聞ける現代曲。ハープの怜悧な美しさが光る前半部からマーラー的な喧騒、少し昔のテレビドラマの香りもするけど、セルの筋肉質の音作りがこうをそうし、皮相にもチャチにも散漫にもならずに十分楽しめるものとなっている。個性もあり。

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アンドリーセン:交響的習作

2005年03月13日 | その他古典等
コンドラシン指揮ACO(ACO)1979/11/24

かなり硬派なゲンダイオンガクから入る曲だが、冷ややかに幻想的な雰囲気はコンドラシンの音作りの硬派なところによくマッチしている。急峻部に入って音楽はいきなりわかりやすくなるが、調性の不安定さは残る。迫力のある演奏だし悪くはないが、曲が弱いか。無印。放送録音か?ACO100周年ボックスに収録。
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バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのブーレ イ短調

2005年02月23日 | その他古典等
ヨアヒム(Vn)(SYMPOSIUM)1903/6/25?・CD

重音が潰れ、指がきちんと押さえられていないように聞こえてしまうのが惜しい。指のもつれのように聞こえる部分は恐らく単に収録しきれなかっただけだと思うが、プレリュードに比べ少し落ちる感はある。無論速い曲であるせいもあろう。ただ録音的に高音の鋭く美麗な残響が捉えられているなど奇跡的なところもあり、十分価値のある録音ではある。テンポがミクロに安定しないところもあるが、時代様式を考えると技巧的な場面でロマンティックに揺らすのが普通であった頃にこの程度に(ちょっとポルタメントを残す程度に)抑えられているのはさすがヨアヒムといったところだ。ごく短いのでこのくらいしか書けない。死の4年前、72才の演奏である(年を考えると凄い)。
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モーツァルト:交響曲第34番

2005年02月23日 | その他古典等
バルビローリ指揮トリノ放送交響楽団(CETRA)LIVE・LP

適度に溌剌とし締まった表現で模範的な感じすらする。バルビ独特の伸び縮みが無いのは勿論、ロマン派的な解釈は何一つ認められない。品がいいとすら言える。だがそれゆえか、そもそも曲ゆえか、私は全く惹かれなかった。まったく何も面白いと思わなかった。たぶん凡演。無印。
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モーツァルト:交響曲第40番

2005年02月23日 | その他古典等
○サモスード指揮モスクワ国立放送交響楽団(MELODIYA)LP

これ、CDになってた気もするが、この時代の録音を復刻するところはへっぽこレーベルが多いので、ロシア楽団の力感をかなりスポイルしたものが見られ(イエダンとか)、今回は値段が安かったこともあり手に入れた。中古屋で見かけないことはない盤なので御興味があれば探してもいいかもしれない。サモスードはけっこう古い曲もいれていたようで、歌曲を除いたとしても、たとえば私の手元には同じモーツァルトのヴァイコンの伴奏指揮をした盤なんかもある。サモスードはほとんど伴奏指揮ものしかCD市場に出回っていない。あっても何かの刺身のツマとしてしかない。でも、これなんかを聞くと非常に生き生きとした瑞々しく力強いアンサンブルが構築されており、勿論楽団、とくに弦楽のアンサンブル力の素晴らしさというのもあるのだが、モーツァルト晩年の様々な「仕掛け」をくっきりと描き出して楽しませてくれる。隙の無い緻密で重層的な書法がじつにボリューム感たっぷりな音をもって紡ぎ出される。感じ惜しむらくは録音の古さだが(私の盤面はかなり辛い)厚盤は音の深さが有るので安定感はあり、慣れていれば聴ける。なんと言っても有名な1楽章、とくに展開部あたりのくるくるめまぐるしく転調するあたりとか、旋律が解体され拍子が一瞬崩れるあたりとかの表現が実に鮮やか。気持ちがいい。胸がすくというか、モーツァルト晩年の尖鋭性がサモスードの現代音楽指揮者としての才覚とシンクロして、結果として目ウロコな感覚すらあたえてくれる。別に前提知識をもって聴かなくてもその作品の凄さが即わかる、これは巨匠の演奏ならでは。2楽章では途中ヴァイオリンが細く残るところで、シルキー・タッチとでも言うのか、背筋がぞっとするような絶妙な音が流れたりして、凄いオケだな、と改めて思わせる。無論サモスードの腕のせいもあろう。コンドラシンにこれができただろうか。3楽章は古典的な楽想をベートーヴェンふうに力強く表現する。私はこういうのは好きだ。第二主題の牧歌的な雰囲気もどこか男らしい。ヤワで繊細なモーツァルトを求める向きにはやや向かないか(それを言ったら全楽章そうか)。4楽章は1楽章同様完璧かつ攻撃的なアンサンブルを構ずるオケが、その「仕掛け」を鮮やかに解いていくのが面白い。とても構築的な楽章だが、このオケはまさに面目躍如といった感じで嬉々として演奏しまくっている。フーガなど「どうだ!」と言わんばかりの畳み掛ける感じがかっこいい。普通余り目立たないような低弦のゴリゴリ弾きまくる音がまた凄まじい迫力を与える。ちょっと凄いです。ここに至るまでロシア臭さが余り感じられないのは多分サモスードの解釈かこのオケ自体の特性によるものだと思うが、それだけに素直に聴き易くていい。変なロシアマニアはがっかりするかもしれないけど(失礼)。ただロシア盤のつねとして最後残響無くぶちっと切れて終了するのはいただけない。もったいない録音処理の仕方だ。全般、録音含め○。いいCD復刻をしたらきっと佳盤の仲間入りをするレベルの演奏。ところで私はモーツァルト嫌いである。この曲のバージョン違いについてはよくわかんないというか検証する気がないのですいません。だいたい初めてモーツァルト書くし。ここ20世紀音楽のページだし。
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