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格差問題を放置するな  [経済財政白書]

2007年08月17日 | スクラップ
社説(2007年8月17日朝刊)





 二〇〇七年度の「経済財政白書」が公表された。今回は長期化する景気回復や、今後の成長へ向けた企業の生産性向上について分析するとともに、労働市場の変化や、格差の問題についても取り上げているのが特徴だ。

 今回の景気回復は戦後最長の「いざなぎ景気」を超えた。だが、賃金や家計消費支出は期待ほどには伸びていない。景気回復を実感できないというのがおおかたの受け止め方ではないか。

 〇二年以降の景気拡大では実質成長率は平均で2・2%。従来の景気回復時の高成長とは様相が異なる。好調な企業部門から家計部門への波及も思うようには進まず、動きは鈍い。

 バブル崩壊後、過剰雇用を抱えた企業はリストラなどの雇用調整に取り組んだが、グローバル化やIT化などを背景に非正規雇用の形態が増えた。

 雇用者の三人に一人が非正規雇用といわれる。その中でも、パート・アルバイトと比べ、派遣・契約・嘱託社員が増加する傾向が見られるという。

 労働者派遣法が改正され、派遣対象の業務が徐々に広がった。雇用形態の多様化が進んでおり、各種の構造変化が格差の問題を引き起こしている。

 労働者が自ら非正規を選択するのなら問題はないが、正規を希望しているにもかかわらず、非正規の形で働かざるを得ないとすれば問題だろう。

 非正規社員は勤続年数が長くなるほど正規社員との賃金差が拡大する。白書でも、格差拡大を放置すれば国の厚生水準(国民生活の水準)一般が低下する可能性があると懸念している。

 近年、先進国で格差拡大の傾向が見られるようになった。成長を確保しつつ、格差をどう是正していくかが問われている。先の参院選で有権者が大きな関心を寄せたのもこの問題だ。

 政府は成長力底上げ戦略などを打ち出したが、十分ではない。白書が指摘するように低所得労働者の教育や訓練も重要だ。格差是正へ向け、セーフティーネットの拡充のほか、所得再分配効果を持つ社会保障と税制をどう組み合わせていくかが重要な課題になる。




沖縄タイムス

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