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札幌在住信者が説く「エホバの証人」の輸血拒否と無輸血治療 前編

2007年08月15日 | スクラップ
 


  08月11日(土) 11時30分
文:糸田  写真:糸田



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札幌市中央区の「エホバの王国会館」
 「エホバの証人が輸血を拒否する主な理由は宗教上の理由であり、医学的な理由ではありません」

 今年5月、大阪医科大学付属病院(大阪府高槻市)で、帝王切開の手術中に大量出血した妊婦が死亡した。妊婦は「エホバの証人」信者で、輸血を受けなかった。

 同院は、帝王切開で大量出血した際は、死亡する可能性があることも説明した上で、本人と「輸血しない場合に起きた事態については免責する」という同意書を交わしていた。容体急変時、妊婦の家族にも輸血の許可を求めたが、家族も女性の意思を尊重したため、輸血は行われなかった。

 エホバの証人信者に対する輸血をめぐっては、1992年に東京大学医科学研究所付属病院でエホバ信者である患者に対して緊急時に無断で輸血して救命した医師と病院が訴えられた。最高裁は2000年、「説明を怠り、輸血を伴う可能性のあった手術を受けるか否かについて意思決定する権利を奪った」として、医師と病院に損害賠償の支払いを命じた。

 現在の医療現場には、医師による十分な説明と患者の同意(インフォームド・コンセント)が求められている。エホバの信者に対しての輸血も、上記の判決以降、輸血を強行できないという考え方が定着し、同意書を得るなどのマニュアルを策定する病院が増えている。

 「エホバの証人」の宗教法人としての正式名称「ものみの塔聖書冊子協会」。聖書を教典とし、キリスト教系の宗教とされている。信者は「血を避けなさい」という聖書の教えに従って輸血を拒否している。世界には約674万人、日本に約22万人、道内には約1万2,000人の信者がいる。

 BNNは、札幌市にあるエホバの証人の各会衆に輸血問題に関する取材を依頼した。エホバの証人札幌医療機関連絡会の司会者(代表)・米沢淳氏(53)から回答が寄せられた。

 ――米沢氏自身の信仰のきっかけや経緯を伺いたい。

 米沢 今から30年余り前の大学3年のときに初めて家から家の宣教活動をしているエホバの証人から聖書文書を受け取り、神が存在する科学的な証拠や聖書の信憑性について知って信仰を持ち、23歳のとき正式な信者となるためのバプテスマ(洗礼)を受けて現在に至っています。

 ――5月に、大阪府で帝王切開手術を受けた女性信者が輸血を拒否して死亡したが、輸血を拒否して死んだ信者は、教義にある神の国に行くことを約束されるのか。

 米沢 個々の人が神の是認を受けるかどうかは、神ご自身がお決めになることであり、わたしたちにはわかりません。ただ、この女性が聖書の原則に従って神を喜ばせたいという願いから輸血を回避した治療を求めていたことを確信しています。

 ――輸血の問題やそれに伴う誤解から、布教活動に支障をきたすようなことはあるか。またそうした事例を耳にしたことはあるか。

 米沢 以前は家から家への宣教活動において時々エホバの証人の輸血拒否について尋ねてくる方がいましたが、最近はほとんどいません。それを話題にされる方もC型肝炎訴訟に見られるように輸血の害が社会問題になっていることをわたしたちが指摘すると、多くの方が同意されます。

 ――輸血の弊害や危険性とは具体的になにか。

 米沢 まず、様々な感染症があります。供給血液のエイズウィルスやC型肝炎ウィルスなどは日赤(日本赤十字)がチェックしていますが、それでも感染直後の供給者からの血液はウィンドウ・ピリオド(潜伏期間)のためウィルスが検査をすり抜けて感染を起こすことがあります。また検査自体が行われていないE型肝炎ウィルスやTTウィルスが肝炎を起こすこともあります。

 また免疫抑制があります。輸血は一種の組織移植なので拒絶反応のために免疫機構が抑制され、その結果感染症にかかりやすくなったり、癌が再発しやすくなったりします。例えば、雑誌「ガン」(1987年2月5日号)は結腸癌患者の場合「輸血した患者の48%、輸血しなかった患者の74%が約5年間、生き延びた」と述べています。また南カリフォルニア大学の医師たちは「口腔、咽頭、鼻もしくは副鼻腔のガンが再発する割合は、無輸血の場合が31%、輸血を受けた場合は71%だった」と述べています。

 さらに輸血によって、発熱、悪寒、じん麻疹、溶血反応、急性腎不全、血管内凝固、輸血血液の白血球が患者を攻撃する致死率の高いGVHD、最近よく学会で話題になる血関連急性肺障害(TRALI)などが引き起こされることがあります。

 ――エホバの証人では、輸血の弊害や危険性を信者に説くと同時に輸血による医療上の利益(死亡率の低下)などは説明しているか

 米沢 輸血療法が一般に行われ始めた当初、輸血に伴う身体面の副作用は、エホバの証人の出版物の中では論じられていませんでした。後に、そのような情報が入手できた時、そのことも出版物に取り上げられましたが、エホバの証人が輸血を拒否する理由としてではなく、むしろ神ご自身が血の使用に関して課された禁止命令に対するエホバの証人の認識を深めるために掲載されました。エホバの証人が輸血を拒否する主な理由は宗教上の理由であり、医学的な理由ではありません。
 
(ルナ註;どういう意味かというと、「元来輸血拒否は宗教的な判断であって、医学上の検討に基づく判断ではない。しかし輸血拒否という教義に医学的な合理性がある、という認識を植えつけるために、輸血には副作用があるという情報を信者に知らせるようになった。信者が怖れずに輸血を拒否できるように」、という意。元信者のルナの経験で言うと、輸血による医療上の利益はほとんど知らせられない。たまに機関紙などで書かれても否定的なニュアンスで書かれている。ルナとしては、教義にとって都合のよい情報はどんどん利用されるが、不都合な情報は遠ざけているのだと解釈している)

 ――輸血以外の医療行為で禁じているものは。

 米沢 胎児の命も大切にしますので、妊娠中絶は意図的に人の命を奪うことと考え、受け入れません。

 ――輸血はダメとしながら、一部の血液製剤の使用や治療法によって許可される血液成分があることは矛盾していないか。

 米沢 エホバの証人は全血を受け入れることも、血液の4つの主要成分である赤血球、白血球、血小板、血漿のいずれかを受け入れることも、神の律法に背く行為であるとみなします。しかし、それらの主要成分から処理される分画については、聖書に細かなことを述べていないので、各自が決定しています。
 
(ルナ註; そもそも聖書は輸血拒否については何も指示していない。古代ユダヤの宗教祭事において、血を食べずに捨てるようにという記述、食事制限の記述に血を食べるなと書かれてある記述、新約聖書において血を避けるようにと書かれている記述を、エホバの証人という宗教団体が輸血という治療にもあてはまると独自に解釈しているだけ)

 ――以前は禁止されていた臓器移植や予防接種が許可された理由は。

 米沢 聖書には他の人の組織や骨を体内に取り入れることに関して、明確な禁止命令がありません。また、ワクチンや血清注射も、絶対に禁じられているわけではありません。したがって、血液分画から作られる免疫グロブリンや血清を受け入れるかどうかは、エホバの証人各自が判断します。

(ルナ註;血清については信者たちの間では禁忌事項として受けとめられていた時期がある。もうひとつ、この回答は質問に対しては何も答えていない。聖書には他の人の組織や骨を体内に取り入れることに関して明確な禁止命令がないのにかつては予防接種が禁止されていた。それなのになぜ許可されるようになったかと尋ねられている。聖書に解釈についてエホバの証人が不正確であったからというのが本当の答えなのだ。そうすると、今の輸血拒否という解釈もほんとうに正確で合理的なのか、という疑問が生じる。それを避けるためにはぐらかしているのかもしれない。また、現在輸血を拒否して死亡者が出ているのと同様、当時も予防接種忌避によって死亡者が出ている)
 
 ――もし、信者が自分の意思またはそれ以外でも、輸血を行った場合は「エホバの証人」から何らかの罰則を受けるのか。

 米沢 自ら進んで輸血を受け、その態度を改めなければ、その人はエホバの証人ではなくなるという選択をしたことになります。他方、輸血をしたことを悔いている人に対し、わたしたちは必要な援助を与えます。輸血が本人の意思に反して強制的になされた場合、精神的・感情的な痛手を受けた患者に対し、信仰の仲間として慰めや援助を与えます。エホバの証人の無断輸血訴訟で輸血を施された患者は「輸血されたことは強姦されたことと同じ」と証言していました。
 
(ルナ註;現実に忌避を犯した状況に陥った信者への審理は地元の各「会衆」で行われる。会衆の代表者である「長老」の能力・資質によっては、機械的に、つまりお役所的に処分されることが多い。特に強姦された場合など、個人への慰めよりはむしろ「抵抗するために声を上げたかどうか」などが尋問されたりする。抵抗の形跡を証明できなければ処分されることもある。処分は大抵コミュニケーションの完全拒否、平たく言えば「村八分」という形をとる。実際に経験してみると、これは大の大人でもかなりの精神的ダメージを及ぼす)

 ――北海道の信者で過去に輸血を拒否して死亡した事例はあるか。

 米沢 輸血をしていれば助かっていた、という症例は聞いていません。輸血を受けず、結果的に死亡した場合でも、それは必ずしも輸血を受けなかったことが原因になっているわけではありません。一方、無輸血で危機的な状況を乗り越えた事例がいくつもあります。最近では、慢性骨髄性白血病の女性患者が無輸血治療で再発を乗り越えて2度目の寛解を迎え、解放に向かっている事例があります。


 ――輸血に関する報道や風説で、エホバの証人に対する誤解はあるか。あるとすれば具体的な内容を伺いたい。

 米沢 エホバの証人は命と健康を大切にしており、輸血を回避した治療を積極的に求めています。また、輸血イコール命、輸血拒否イコール死、という前提が必ずしも正しいわけではありません。実際、エイズや肝炎などは、輸血によっても広められ、多くの人の命を奪ってきています。他方、数々の優れた無輸血の代替治療が開発され、それは命と健康に資する良質の医療となっています。

 最近の世界的な動向として、様々な輸血の害が知られるようになって、ますます多くの事情に通じた人々が無輸血治療を求めるようになってきました。例えば、1996年にカナダで行われたギャラップ調査によると、カナダ国民の89%が輸血に代わる方法を望んでいることが明らかになりました。

 道内のある麻酔科医は「輸血をしたけれども助かりませんでした、と言えば、患者の家族も納得するので、不必要な輸血をせざるを得ません。患者側にも責任があります」と述べていました。それで今後の課題として、人々がいっそう輸血の合併症の実態と代替治療の有効性とを知り、十分な情報にもとづいて、真のインフォームド・コンセントが普及していくことが望まれます。

 米沢氏は、エホバの証人の輸血拒否はあくまで宗教上の問題としながらも、輸血による合併症などの害と無輸血治療の有効性を医学的な理由で説いた。後編は「無輸血治療」と「子どもの輸血拒否」について掲載する。

 

(ブックマークの「まいけるのおうち」を参照されるようお勧めします。このエントリーのコメントからは直接当該記事へジャンプできます)。

 

 

「今すぐ!! 北海道のニュースサイト」より



 

 


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ルナのセルフコメント (ルナ)
2007-08-15 23:11:41
ブックマークの「まいけるのおうち」の今日のエントリーからこの記事を発見しました。このコメントの「ルナ」をクリックすれば、米沢さんの能書きへの批判が読めます。
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脳死問題について (市村慧芳)
2007-08-15 23:37:35
慶応大学はすごいアフリカ王族の脳についてのデータを持っている。私は昔から脳死問題に関わっているということを認識したんだ。



つまり、これは戦争犯罪ですね?
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亮一はルイ16世に関係していた! (市村慧芳)
2007-08-16 12:31:00
体は魔女狩りのような燃えたし、首の後ろは痛かったんだ。私はちょっとルイ16世に似ている。
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日野君は神戸市外国語大学の同級生だった! (市村慧芳)
2007-08-28 23:53:51
最近、フランス系に見えて、耳元の会話も犯罪事件の問題になった。日本人に見えなくて、華僑問題で華族に戻りたい。

脳の変化についての不安は倍以上だった。

神戸市にいれば、「いきなり」は死因になれると思った。

日野君は釈放されたかな?皆心配して!
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