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差別的発言を許容する自民党は「樽一杯の泥水」にすぎない

2021年05月23日 | スクラップ

 

 

 

 

 自民党・山谷えり子議員が「体は男だけど自分は女だから女子トイレに入れろとか、アメリカなんかでは女子陸上競技に参加してしまってダーッとメダルを取るとか、ばかげたことはいろいろ起きている(2021年5月19日 朝日新聞デジタル)」などと発言し、大きな波紋を広げている。

 

 また、同じ会議において簗和生議員が「生物学上、種の保存に背く。生物学の根幹にあらがう(2021年5月20日共同通信)」などと発言していたことも、明らかになった。

 

 この事自体は、大きな驚きではない。自民党の中に復古的な思想があることは皆様もご存知だろうが、山谷えり子議員はその代表格であるからだ。

 

 思い出されるのは、もちろん自民党所属である杉田水脈議員のことだろう。下記の発言を見れば、未だに彼女が国会議員のバッジをつけて税金から歳費を受けていることに、他の議員はどう思うのだろうと考えざるを得ない。

 「LGBTのカップルのために税金を使うことに賛同が得られるものでしょうか。彼ら彼女らは子供を作らない、つま り『生産性』 がないのです」、「『常識』 や 『普通であること』 を見失っていく社会は、『秩序』 がなくなり、いずれ崩壊していくことにもなりかねません。私は日本をそうした社会にしたくありません」
(いずれも 『新潮45』 2018年8月号)

 

 また、杉田水脈議員ほど有名ではないが、足立区議会において下記のように差別的でかつ事実を誤認した発言を行った白石正輝議員のことについても触れざるを得ない。

 「B(バイセクシュアル)とT(トランスジェンダー)は生まれつきだが、レズ(*注 この言い方は当事者以外が呼ぶ場合は差別的である)とゲイについては、もし足立区に完全に広がったら足立区民がなくなってしまう」(2020年9月25日)

 

 こういう議論をすると、必ずと言っていいほど、「自民党の中にも、LBGT政策に理解のある方はいる」という主張をする人がいる(理解があるのではなく、必要なのは政策を進めることであることは言うまでもないが)。

 確かに、そうだ。例えば、山谷氏が反対したLGBT法は稲田朋美議員を中心にまとめられたものだし、この法案には「差別は許されない」という(当然の)案文が入っている。

 レインボーパレードには毎年自民党……ではなく、自民党に入党を目指している細野豪志議員も参加している。

 もちろん、それをもってLGBTアライ(支援者)だ、などと軽々しく言えるわけではない。とはいえ、すべての議員が性的マイノリティに対して差別的なわけではないのは、事実だ。

 

 しかし、考えてもらいたいのは、山谷えり子議員、杉田水脈議員は、どちらも比例代表として選出されているということだ。比例代表として選出されるということは、その党を代表して選ばれるということである。

 問題は、「差別的でない人がいる」ことではない。「差別的な人を許容している」ということだ。自由民主党という政党は、理念的な政党ではない。あえていうなら、党として一致した政策らしい政策があるわけでもない。それは、「元民主党・元民進党」の議員が多数在籍していることからでもわかる。

 自由民主党はむしろ、政党というより、政権にあり続けることを目的にした共同体に近い。55年体制の中、呉越同舟の民主党と自由党が「社会党に政権を渡さない」ことを目的に結党されたことからも明らかだろう。

 

 ある漫画にこういうたとえ話があった。「樽一杯のワインに一杯の泥水を混ぜると、それは樽一杯の泥水になる」。

 

 公平に言うが、自民党にも素晴らしい議員はたくさんいる。しかし、だとしても、党として差別的発言を許容し、処分せず、あまつさえ次回の選挙でも公認し、比例代表の名簿とすれば、それは「樽一杯の泥水」にすぎないだろう。

 もちろん、人によって何が泥水かは異なる。政党によっては、差別的な発言よりも、共産党と仲良くすることが泥水なのかもしれない。

 しかし、もし仮にあなたが「人権」なる概念を少しでも重んじるなら、自由民主党という政党は、混ぜてはいけないものを混ぜたワイン、ということになる。

 

 

 

WEZZY   2021.05.23 09:00
平河エリ
ライター。京都府京都市出身。早稲田大学卒。ブログ「読む国会」主宰。議会政治、国内外の選挙などについて執筆。

 

 

 

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