長岡京市役所前に藤袴(ふじばかま)の花が登場しました。
市内に工場がある、お香の老舗・松栄堂さん
によって公開されているものです。
松栄堂さんは環境活動の一環として、
絶滅危惧種となってしまった藤袴を育成・公開しています。
今では希少になってしまいましたが、
かつては秋の七草に数えられるほど身近な草花でした。
なかでも愛されてきたのは、香りです。
乾燥させると芳香を放つため、
その香りを暮らしの中で楽しんでいたそうです。
また「藤袴」という名前から
着物の「はかま」を連想し、和歌の中でも親しまれてきました。
主しらぬ香こそにほへれ秋の野に誰がぬぎかけし藤袴ぞも
(ぬししらぬかこそにほへれあきののにたがぬぎかけしふじばかまぞも)
古今和歌集の、素性(そせい)法師の歌です。
誰のものかわからない香りが、秋の野にみちみちている。
あのいい香りがする藤袴は、
だれが野に脱いでおいて行った袴なのだろう?
というような意味になります。
当時の貴族たちは香りを着物に焚いて染みこませていました。
特に、高貴な人は素晴らしい香りを身に着け、
その香りだけで誰かわかるくらいだったそうです。
秋の野に、誰のものだかわからないとてもいい香りがする。
ああ、あの藤袴のせいなんだ。
どんな高貴な人が脱いでいったはかまの香りなんだろう、
と思わせる藤袴の花よ。
香りに縁がある藤袴。
王朝のみやびを思い起こさせる藤袴の花を、ぜひご覧ください。
見頃は、来月20日くらいまでとのことです。
松栄堂の環境活動については、こちら
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