日本の神話によりますと、建角御命(たけつぬみのみこと)という
名前の力のある神が住んでいました。京都の北山の近くに娘の玉依姫
と一緒に住んでいました。ある日、玉依姫が賀茂川のほとりで遊んでいると、
赤い矢が上流からまっすぐ流れてきました。矢が止まったので、拾って家に
持ち帰りました。夕方遅くなって、不思議な神のお告げを聞きました。
もうすぐ赤ちゃんがお腹に宿るというのです。数カ月経って、素敵な男の
赤ちゃんが生まれました。建角御命は赤ちゃんの父親が誰かを調べるために、
近くに住んでいる若い神様を沢山呼んでパ-ティをすることにしました。
パ-ティは7日間続きましたが、誰が父親かまだ分かりません。それで
赤ん坊に父親を見つけるように頼むことにしました。そうすれば祝拝の酒を
注げるからです。赤ん坊はその希望を聞くなり、空を指さし、自分の父親は
雷神だと言い張りました。突然、稲妻が光り、雷が鳴り響きました。
赤ん坊が宙に浮き、御殿の屋根を突き破って飛び上がってしまいました。
空に消えて、二度と会うことは出来ませんでした。
いく日も時が過ぎ、お母さんの玉依姫は大変、悲しみました。
もう一度、息子に会いたいというのです。やがで、いなくなった息子を祀って、
京都の北に下鴨神社を建てました。神社ができてから、玉依姫は夢を見ました。
夢の中で、赤ん坊はお父さんを祀る神社も建てで欲しいと頼みました。夢から
目覚めて、息子だけに神社を建てるのは公平でないと気が付きました。
それで、息子のちちのために別の神社を建てることにしました。神社を建てるのに
最も相応しい所を探しているうちに、乙訓の地にすることを決めました。
この神社は乙訓坐火雷神社(おとくににいますほのいかづちじんじゃ)と言われ
現在の角宮神社で、阪急電車の長岡天神駅から歩いて20分の所にあります。
(長岡京市の昔話より)