劇場彷徨人・高橋彩子の備忘録

演劇、ダンスなどパフォーミングアーツを中心にフリーランスでライター、編集者をしている高橋彩子の備忘録的ブログです。

音楽劇『トリツカレ男』/ちいさい夏がやってきた

2009-09-08 00:02:29 | 観劇
音楽劇『トリツカレ男』@銀河劇場



いしいしんじ原作の物語が、ちょっぴりシュールで心温まる舞台となった。
ただし、原作を読んでいないので、今回の倉持裕脚本と比較はできないのだが・・・

主役のトリツカレ男ことジュゼッペに扮するのは坂元健児。
作品によってはアドリブやギャグで笑いを取ろうとするイメージがあるけれども、
今回は本編から逸れない演技で、陽気で変わり者の青年を好演していた。
ヒロインのペチカ役は「クラムボン」の原田郁子(青柳拓次とともに音楽も担当)。
おもに歌やピアノでジュゼッペと会話をするのだが、言葉が拙い異国人という設定ゆえに
説得力があり、独特のウィスパーヴォイスやミステリアスな雰囲気が生かされていた。
逆に、案外饒舌にセリフを喋る場面のほうに、いささかの違和感をおぼえたのも事実。

このほか、ペチカの母親役・浦嶋りんこが披露するゴスペル風歌唱の迫力や、
ノリノリでツイストを踊ってみせるツイスト親分役・尾藤イサオの熱演もいい。

そして、現在は活動休止中の「水と油」のおのでらん=小野寺修二の振付が、
不思議でファンタジックな世界にうまくはまっていて秀逸。
キャストの中には、同じく元「水と油」ももこん=藤田桃子の姿も。
また、奥村泰彦の美術も重厚感があって美しかった。

全体的に、特別な派手さや新奇さがある作品ではないものの味わい深く、
大人も子供も楽しめるような、好感の持てる音楽劇に仕上がっていると思う。
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8月に夏らしいことができなかった代わりに(!?)、
9月になって夏らしい和菓子が届いた!

 水飴の西瓜

 和三盆と金平糖の朝顔

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