8月21日(日)・22日(月)と、東京出張がありました。会議の前後の時間を活用して、いくつかの美術館・博物館を巡りました。これは授業や研究のための資料収集を兼ねています。三井住友銀行本館の右隣にある三井記念美術館です。左隣には三越が有ります。

茶器や掛物の展示をしていました。重要文化財の井戸茶碗などが多く展示されていて驚きました。さすがに財閥なので良い宝物を持っています。今回は展示がありませんでしたが、三井家は有名な書の手本もたくさん持っていて、法帖として学生も多く世話になっています。「三井本」とついているのがほとんどそうです。古筆もいくつか展示されていました。この展示は9月19日(月祝)までありますが必見です。

この建物の近くに日下部鳴鶴の書いた有名な看板もありました。「有便堂」という文字を隷書で書いています。「便」の字はかなり今の楷書とは異なりますので、読みを下にローマ字で記載しています。でも敢えて古い看板を使い続けているのは、100年かけてこの看板の書のイメージが既に多くの客に刷り込まれているからでしょう。

また近くの日本橋の麒麟の像は、映画の題材にもなったものです。麒麟は想像上の神獣ですが、山本鼎がキリンビールのラベルに描いているのが有名です。翼に見えるのは背びれだそうです。

乃木坂の国立新美術館では、ドイツの所蔵するピカソや近代美術品の展示がありました。美術の教科書に出てくる有名作家の作品ながら、あまり見たことのない作品が多く、新鮮でした。


六本木ヒルズの52階にある森美術館では、現代美術をたくさん見ました。

兵庫県出身の堀尾貞治を初めて知りましたが、書の観点から見てもたいへん興味深い作品群でした。壁面全体に飾られた作品は圧巻でした。このような展示方法もあるのかと驚きました。

やはり東京のビル群はいつ見ても、すごい量ですが、すぐ近くに青山墓地があって、緑があると少しほっとします。

美術史・書道史の総覧のような学習ができました。やはり本やインターネットで見るだけでなく、実物を見ることは重要です。