ぱたぱた仙鳩ブログ

徳島から書道文化を発信します。

阿波掛軸堂 経営計画発表会

2015年05月31日 | 日記

5月30日(土)、夕方に、徳島市ワシントンホテルで行なわれた標記の会が開かれました。先般、書道文化学科春季講演会で阿波掛軸堂の越智社長さんに講演していただいたこともあって、ご案内を受けて昨年に引き続き参加しました。昨年度までの業績の状況の報告や、今後、どのように経営をしていくかを、取引先の会社の代表10名ほどを集めて社長がパワーポイントで発表しました。

1時間ほどの発表の後に、お酒とお料理が出て懇親会が始まりました。これは、もちろん参加費を払って参加させて頂いています。

ここには、現在2名の卒業生が就職しています。全12名の従業員の小企業のうちの2名ですから、比率としては大きなものがあります。日野出夏穂さんと坂東加奈子さんの2人ですが、元気一杯でした。入社4年目の日野出さんの書作品は、現在全国から引き合いがくる作品として有名になって、高級な緞子を使った名号の掛け軸には数十万円の価格がついています。もうプロの書家と言ってよいでしょう。今年4月から入社した新入社員の坂東さんは、葉書にアート書道で作った創作作品を手に、この日のお客様に一枚づつ手渡しで渡していました。私も一枚いただきました。坂東さんは、それを手渡すお客様のイメージに合わせて作品を作っていて、私は絵具で描かれたチューリップの絵の上に墨で「美しい瞳」と書かれた作品でした。ちょっと照れました。坂東さんは、まだ作品を書くところまでにはいきませんので、現在はまだ会社内の掃除を担当したり、小型の表具の技術を学んでいるところですが、仕事はとても楽しいとのことで安心しました。

昨年、上海の展示会で新商品を展示したら、参加者の投票により、それが日本企業で唯一の上位入賞を果たしたとのことです。今年はそれをイタリアのミラノ万博にも提出するのだそうで、日野出さんは会社の代表としてミラノに行き、書道パフォーマンスを披露するとのことでした。坂東さんの作った小型掛軸も商品として展示されるとのことで、彼女も嬉しそうでした。

書道も漢字文化圏を超えてグローバルに勝負する時代になってきました。このことは私も20年以上前から予想していましたが、ヨーロッパでは現在「盆栽」が大人気だそうで、ミラノ万博で掛軸の商品も注目を浴びるのは間違いないでしょう。社長の目の付けどころはとても良いと思います。

卒業生が着々と成長していますが、頼もしいです。今後も活躍を期待しています。

 


2015新入生歓迎錬成成果展1・2班

2015年05月28日 | 日記

5月27日(水)、今週の初めから、書道文化館の1Fギャラリーでは、標記の展覧会が実施されています。これは、1~3年生を6つの班に分けて、上級生が下級生を指導する形で何度か錬成会を行ない、その成果を2班ずつ、2週間ごと3回にわたって展示するものです。すべて展示が終わるのに1ヶ月を要します。まずは1・2班の展示です。壁面と、展示ボックスを上手に工夫して展示しています。

壁面には、全員の半切などの条幅作品が貼られていました。それぞれ古典の臨書に挑戦しています。1年生も、まだ入学して間もないので、このような条幅作品を始めて書く学生もいます。

各班では、大きな壁面の展示ケースに、毎年合同作品を制作することが多いです。この班では、虹を渡る「シコポン」が風船を持っていて、その風船に1字作品を書いていました。楽しい作品です。シコポンは四国大学のゆるキャラです。大学の様々な企画に、自由に使っていいことになっています。シコポンの顔は漢字の「四」の字からデザイン化されたそうです。

設置用の展示ケースには、小型の仮名作品なども置かれますが、その他、制作途中の写真や、制作者の自己紹介・コメントなどがイラスト入りで書かれていて楽しそうな様子が伝わってきました。

このような展示方法を、各班の学生たちが相談し合って様々に工夫することも、大切な学習です。社会に出てからは、多くの企業や団体でも様々な年代の従業員が小グループを作って、協力して仕事を進める形態が多いのですが、そのための訓練の一種ともいえます。大学でこのような機会を持つことは、他の学科では多くないのですが、書道文化学科では伝統的にこの形をとっています。これによって学年を越えた交流が盛んになって、彼らの将来にとてもよい効果があると思っています。展示はまだ10日ほど続き、次の班にバトンタッチします。また他の班の展示も紹介します。

 


書道文化学会 第11回春季講演会

2015年05月18日 | 日記

5月17日(日)、午後に四国大学で標記の会が実施されました。学生や一般の方々がたくさん参加され、三つの講演が行われました。まずは阿波掛軸堂代表取締役の越智憲一郎氏が「書とビジネス -阿波掛軸堂の活動を通して-」と題してお話して下さいました。

越知氏は徳島の若手実業家の代表でもあり、徳島産業界の牽引者の一人です。大学に対する厳しい注文もありましたが、現代社会で書は確実に求められている。あとはそれをプロディースし、売り込む方法を考えていくことが必要だということでした。この会社で働いて4年目で、社長の片腕になって活躍中の卒業生、日野出夏穂さんも同行し、後輩へのアドバイスをくれました。

次には蓑毛政雄先生の「会津八一のかな」というもので、映像を通して奈良にある八一の歌碑の数々を紹介していただきました。

最後は、鳴門市立図書館長である高田博子氏の「図書館司書の仕事について」というものでした。高田氏は本学の書道コースの卒業生で、司書から館長になった優秀な方です。ユーモアいっぱいに、図書館の現状に関するお話を頂きました。途中で、昔の物語の語り部となって実演していただき、学生も楽しそうに聴いていました。お仕事の中で、書道の技術も効果的に使っておられる様子に感心しました。この日は、香川県で図書館司書を目指している高校生も2名参加し、講演後に高田さんから様々なアドバイスをもらっていました。

様々な分野のお話を聞くと、視野が広がります。また次の仕事に生かしていきたいと思います。


マチ★アソビ 2015

2015年05月11日 | 日記

ゴールデンウィークが終わりました。5月5日に撮影した映像を紹介しておきます。近年、徳島の中心部で時折行なわれているイベント、「マチ★アソビ」です。コスプレやアニメのイベントで、徐々に知名度を得て、4日間の期間中に一昨年は3万人、昨年は5万人、今年は7万人もの人が訪れる様になりました。新町川の岸辺周辺で、コスプレの若者が沢山歩き、声優によるコンサートやアニメ関連の露店ブースなどに行列ができていました。さまざまな色の髪の毛や、見たことのないような服を着た人が沢山歩いていて、異世界に迷い込んだように感じます。

若者が多いですが、中には年配の方や親子でコスプレを楽しんでいる方もいました。また多くのカメラマンが被写体を求めて繰り出していました。ゼミ生の神農さんもここにコスプレで参加して、ブースで希望者の依頼で様々な書道作品を書いたということを聞きました。新しい形式の書道パフォーマンスです。

徳島県にもこのようなユニークなイベントの仕掛け人がいらっします。この季節が最も人出が多いのですが、他の季節にも時折行なわれています。これからももっと盛り上がっていくでしょう。このままいけば阿波踊りに次ぐほど大きな徳島のイベントになっていきそうです。


庚午事変 追悼式と講演会

2015年05月04日 | 日記

5月3日(日)朝から、淡路島の洲本市に行きました。「益習館の集い」のメンバーの方がわざわざ車で迎えに来てくれました。最初に伺ったのが、洲本市の市役所の近くにある「国瑞彦護国神社」です。

ここは、明治3年(1870)5月13日に起きた庚午事変の最も激戦の場所に、当時の藩主である蜂須賀茂韶によって建てられた神社です。慰霊のための神社なので、門が北向きです。この事件では、未明に徳島藩兵約100余名が大砲4門で洲本に行き、突然攻撃して、淡路の家が14軒全焼、即死15名、自殺2名、重軽傷者20名となりました。廃藩置県をめぐる混乱の中で各地で起きた内戦の一つです。それまで藩で協力して栄えていた徳島藩でしたが、これにより、淡路と徳島の間には心の溝ができて、結局、淡路島は兵庫県に移管されることになり現在に至るわけです。神社の中には、後に茂韶によって、洲本城の玄関がそのまま移されて迎賓館として使われていた「金天閣」という立派な遺物も、残されていました。門の造りがあまりにも立派で驚きましたが、江戸時代にはお殿様しか通れない門だったそうです。

この後、神社の社務所で、事件の犠牲者を慰霊する儀式が行われ、私も参列して玉串を捧げさせていただきました。最後に「益州館の集い」の代表、淡路市の副市長さん、そして徳島から「蜂須賀桜と武家屋敷の会」の代表がそれぞれの立場でご挨拶をされました。事件から145年が経ち、蜂須賀桜を洲本の神社に植えることで、恩讐を超えて再び徳島と淡路が手を取りあうべき時が来ているのだと互いに確認されました。たいへん感動的なお話でした。

これに引き続き、神社の神域内に蜂須賀桜の苗が2本植えられているところで、代表者による植樹の儀式が行われました。

素晴らしいプログラムで、企画力の高さを感じました。淡路の皆さんは頭の良い方が多いと思います。

午後には、「益習館とゆかりの学者たち」と題する私の講演会がありました。これは開始1時間前に準備をしているときの状況です。既に来られている方がいて、熱心さに驚きました。開始時には会場が人で埋まり、約100名の観衆の前で、パワーポイントと資料を使って、1時間半の熱弁をふるいました。終わった後も鋭い質問がいくつか出されました。昨年11月に行なった話を少し整理してさらに少し情報を加えましたが、聴衆の方の関心度が高く、熱心に聴いて下さったので、話し甲斐がありました。終わった後はシャツの襟が汗でびしょびしょに濡れていましたので、自分でも驚きました。

終了後は例によって、関係者の皆さんと慰労会に出させていただき、またいろいろな話ができました。帰りは洲本から徳島まで車で送って頂きましたが、既に深夜でした。忙しい1日でしたが、多くの方とお会いでき、良い場面にも立ち会えて、充実した時間でした。