ぱたぱた仙鳩ブログ

徳島から書道文化を発信します。

二期作

2015年09月28日 | 日記

9月28日(月)、夕方です。今日から後期の授業が始まりました。今住んでいる住宅の前には、水田があります。季節ごとの風景やカエルの声を楽しませていただいています。

年ごとに、日本が温暖化しているのでしょうか。徳島に来てから9年になるのですが、年々、稲刈りの日が早くなっているように思います。今年はお盆前には稲刈りが終わっていました。それから約一か月半の今日に撮影した水田です。

驚くことに、稲刈り後の株から成長した「ひこばえ」がもうこんなに成長しているのです。今年の8月から9月にかけての暑さは半端ではありませんでしたし、台風も何度か来て、雨も充分に浴びていますから、ひこばえにとっては良い環境だったと思います。一つの苗を拡大してみます。

もう苗には稲の花が咲いていました。あと、2週間もすれば、しっかり稔って穂が垂れ下がり、再度収穫ができそうです。長野県の気候では思いもよりませんでしたが、稲の「二期作」にはこのパターンも可能なのだということを理解しました。宮崎県などの二期作では、一回稲刈りしてから、もう一度田を掻いて田植えをしてから収穫するのだそうですが、ひこばえを大きく成長させて収穫することもできるのですね。稲はもともと多年草の要素も持っているのだそうです。しかし、気候はこれから寒くなりますから、米は十分には結実しないこともあるのでしょう。

例年は、この水田の持ち主はこの「ひこばえ」は収穫せずに耕運機でつぶしていましたが、今年はどうされるのか、楽しみに見ています。収量はもちろん最初の収穫よりは少ないでしょうが、この水田全体でしたら、2俵くらいは収穫できそうに思います。二期作の二番収穫の米は、味は二級品だと聞きました。でも、これをつぶして肥料にしてしまうのは、もったいないように思います。

一般的に米の二期作は、日本では高知県や宮崎県等でしか行なわれていないと聞いています。でも、温暖化によって、徳島も可能になってきているようです。


杭州点描

2015年09月20日 | 日記

9月15日(火)~19日(土)、中国杭州に行ってきました。浙江大学中国芸術研究所での2回の講義が主な仕事です。会場は浙江大学の文書館です。浙江大学の詳しいことは下記をご覧下さい。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%99%E6%B1%9F%E5%A4%A7%E5%AD%A6

http://www.zju.edu.cn/

教室の中に、大学院生が13名います。副所長の金暁明先生が私の話のまとめのコメントをして下さっているところです。私は中国語はほとんどできませんので、日本語学科の張恵芳先生が同時通訳してくださいました。授業は16日の午後に2時間、17日の午後に2時間、2回にわたって行ないました。1日目は四国大学書道文化学科の学生活動の紹介や、書道美学について、また2日目は中国・朝鮮半島・日本の書道文化の関連の話をしました。主としてパワーポイントでの講義でしたが、書道パフォーマンスの動画も少し見てもらいました。大学院生は熱心で、質問もたくさん出ました。

また私の食事などの面倒は、大学院生が3名、日本語学科の学生が1名、みてくれました。でも、日本語の話せる人が周りのいない時間が半分ほどあって、へたな英語を交えながらの生活だったので、思ったよりも疲れました。下の写真は、前半の幇助をしてくれた大学院生の梁くんと日本語学科学生の苗さんです。親切な好青年たちでした。

仕事が終わった翌日18日には、杭州市内の観光地をご案内いただきました。いくつか紹介します。下の写真は大学から車で南に15分ほど移動するとある諏訪湖程の大きさの湖、「西湖」です。ここは白居易や蘇軾が知事をしていた時に、湖を浚渫(しゅんせつ)して出た泥を盛って作った堤があります。詳しくは下のサイトをご覧下さい。それぞれ「白堤」「蘇堤」と呼ばれています。福岡市の大濠公園はこれに倣って造られたという説もあるそうです。

https://kotobank.jp/word/%E7%99%BD%E5%A0%A4-805537

http://www.e-asianmarket.com/asia/hangzhouxifu81.htm

たいへん美しい観光地です。

しだれ柳がたくさん植えられていて、良い雰囲気です。湖には観光船がたくさん浮かんでいました。

この岸辺には有名な西泠印社があります。

http://www15.plala.or.jp/seirei_insha/index.html

ここには、丁敬、石如、呉昌碩、兪曲園、などの遺物がたくさんあって、見ごたえがありました。日下部鳴鶴もここで明治24年に呉昌碩、兪曲園などの文人たちと交流しました。隣接する浙江省博物館は役所があった場所で、伝統的な庭園芸術を見ました。中国絵画に異様な形の岩の水墨画がよく描いてありますが、こういうのを見て描いているのだとわかりました。神仙の住む蓬莱山や中華三山を模して彫刻した石だということです。池は海を表現しています。

この日に私を幇助してくれたのは、大学院生で書道や絵画専攻博士課程1年生の劉さんと、デザイン専攻の博士課程5年生の孔くんです。孔くんが英語で通訳してくれました。彼はもうすぐ卒業して、造園デザイナーになることを目指していると言っていました。昼食は金先生も合流して、少し移動して河坊街に行きました。ここは南宋時代の都があった場所で、当時の家並みを再現している土産物街だそうです。

http://japanese.cri.cn/189/2008/04/01/1@115221.htm

下の写真の左から劉さん、金先生、孔くんです。その時は気が付きませんでしたが、今になって写真をよく見ると建築物に「うだつ」が付いています。日本のうだつのルーツもきっとこれでしょう。脇町の町並みと雰囲気がよく似ていました。

金先生には食事をごちそうになった後に、書店や篆刻の石材の店をご案内いただきました。その後、先生とはここでお別れし、院生二人と一緒に最後に車で少し山に移動して霊隠寺に行きました。ここは中国十大仏寺の一つだそうで、大きな寺院でした。ここの参道途中の紫雲洞にも日下部鳴鶴が訪問して、石刻を残しています。「大日本明治廿四年夏六月日下鳴鶴来游於此」の19文字です。この洞窟の入り口近くにありました。鳴鶴以外の中国文人の多くの石刻もありました。霊隠寺の詳しい状況は下記のHPをご覧下さい。

http://jp.lingyinsi.org/

この寺の本尊は金の大仏です。日本の奈良大仏も、奈良時代の出来たばかりのころはこのような感じだったのでしょう。

翌日の早朝に、中国国際航空で関西空港経由で帰りました。飛行機に乗っている時間は約2時間ですので、関西―沖縄間と同じくらいの距離です。違うのは、国が違って時差が1時間あることです。実際は2時間のフライトですが、着くと現地の時計では3時間経過しています。飛行機の発着の時間は現地の国の時間です。不思議な感覚です。

日本に帰ってくると、たまたまこの日が安保法の成立した日でした。政治的には東アジアは難しい状態にありますが、実際に中国に行って多くの人々と交流してみれば、日本とそれほど変わる事はないし、みんな親切な人ばかりです。中国と日本の文化とは深いつながりがあります。今後も書道文化は、中国と友好関係を維持していくべきだと感じました。たいへん良い勉強になった出張旅行でした。

 

 

 

 

 


店舗内の装飾作品としての学生の書

2015年09月15日 | 日記

9月15日(火)、数年前から街角に学生の書作品を展示する努力を続けていますが、徳島市の中心部にある「両国本町商店街」では今、4年生のゼミ学生である神農藍里さんが卒業研究としてそれに取り組み、18店舗に作品を展示中です。あまり教員が出過ぎずに、地域の人々との交渉などを彼女だけに取り組ませているので、まだすべての作品を見たことがありません。作品に関してもほどんど彼女のアイデアに任せています。学生らしい未完成の感覚で勝負してその感想をいろいろな人に言ってもらうことが、最も本人の勉強になると思うからです。たまたま買物でそこを歩く機会があったので、その様子を少し紹介します。これは、雑貨屋さんのショーウィンドウです。「歩」の文字がお洒落に飾られて町に溶け込んでいました。思わず歩きたくなります。

次は、地元TVのニュースでも取りあげられたデイサービスセンター内の作品です。「楽」の甲骨文をアレンジしています。瓢箪型の額は、書道用品店の奥に売れ残っていたユニークな商品を大学の予算で買い取ったものです。彼女に使わせてみたら、本当に楽しい作品に変えました。施設長さんとお話したら、ここに通ってくる皆さんの評判も上々とのことです。

最後は、神農さんの作品ではなく、昨年書いてもらった3年生の後迫里保さんの作品です。ヘレンケラーの言葉で、「太陽 いつも太陽を見ていれば影は目に入らない」と書かれています。プチレスト「ウッドアイビス」の店内作品です。後迫さんは鹿児島から徳島に勉強にきている元気なお嬢さんですが、才能に溢れています。

このような作品が一点あるだけで空間が温かくなるのが、書の重要な効果です。このような店が増えると、商店街全体の雰囲気も変わっていきますし、ひいては都市全体のイメージまで変えるだろうと考えています。

なお、今日から19日まで中国に行ってきます。浙江省杭州市の浙江大学で授業をするためです。四国大学と浙江大学は大学院レベルの交流があって、教員の授業も1年交代で実施しています。今年は私が授業にいくことになりました。16日、17日に2時間ずつの講義をしてきます。外国で授業をするのは初めての経験ですが、通訳の先生がついて解説をしてくださるらしいです。上記のような活動の様子も中国の学生に紹介しようと思っています。


夏季錬成合宿in淡路2015

2015年09月05日 | 日記

9月1日(火)~3日(木)、毎年恒例の標記の合宿に、3日間参加してきました。淡路までは大学のバスで1時間。講堂や研修室にわかれて早速書き始めます。会場にはシートと毛氈を敷いて、各自のテーマに合わせて頑張っています。

臨書課題と、創作課題がありますが、一度ずつ批評会を行ないます

第2特別室で取り組む人たちです。この部屋の二面の窓からは海が見えます。最高の景色の中で書いています。

作品の向こうに海が見えるので、作品は島のように見えます。この作品は、金子みすずの詩を創作作品にしているそうです。自分の感想を発表後には、他の学生が批評をして、最後に教員が批評します。

第5研修室で書いている人たちです。

毎年、合宿のテーマの決めて、係りの学生が紙に書いて各部屋に貼ってあります。今年のテーマは下の写真の通りです。毎年、学生たちが考えて洒落たテーマを作ります。

この食堂は、美味しいので有名です。淡路島の産物を使って、毎食おかずが替わる、バイキング形式です。学生は、つらい練習があっても、この食事の時はみんなニコニコ顔です。個人的には、ここの玉ねぎを使った料理が最高だと思います。淡路島の玉ねぎは、日本で最も美味しい玉ねぎと言われています。

毎日、7:00と17:00の2回、ここに宿泊している団体が全員集まって、集いのセレモニーがあります。各団体の代表者が前に出て、挨拶をして、活動の紹介を互いにします。朝は、集会前にラジオ体操もします。

体は疲れますが、楽しく充実した集団生活を終えて、帰りました。この合宿で書いた作品の精度をさらに上げて、11月の芳藍書道展に出品します。今年もよい作品展に成りそうです。