ぱたぱた仙鳩ブログ

徳島から書道文化を発信します。

一字書デモンストレーション

2011年12月28日 | インポート

Youmetown 12月28日(水)、午後3時に会場入りし、紙の準備、リハーサルなどして、撮影本番は夕方6:50ごろから始まりました。短い放映時間でも、マスコミの皆さんは数時間前から準備に入られます。このような撮影は既に何度か経験していますが、いつも本当にマスコミに従事する皆さんの苦労がわかります。

会場はゆめタウン徳島のスターバックスコーヒーの前の広場です。

ゼミ生の3年生1名が書き、他の2名が補助につき、見学に来た他3名が墨の吸い取り作業を手伝いました。

文字は、「徳島の今年の一字」ということで、投票で事前に決まった「昇」の一字です。リハーサルでは形がうまく取れなかったので、その後指導し、本番ではバランスよく書けました。線のかすれ具合や文字の大きさがちょうどよかったです。

私の手持ちの筆の中では最も大きい筆を使わせましたが、筆の中に墨を溜める力が高い筆ですので、一回筆に墨をつけただけで、この巨大文字を一気に書くことができました。こういう時はやはり草書が最も良いです。筆を紙から離さずに一気に書くことができるからです。筆にたくさん墨を含ませるとかなりの重さになりますし、女子学生にはかなりきつい作業ですが、それだけに本人の持っている感性が生のまま表出してしまいます。

学生たちにとって、とてもよい経験になったと思います。大勢の人に見られながら書いたり、作品を見せることは緊張を伴いますが、その中で仕事をやりきったという経験は、今後の人生の中で必ず活かされるはずです。このような機会を頂いたNHKの皆さんにも感謝したいと思います。

これが、私にとって2011年の仕事納めになりました。終了後に大学に戻り、筆を洗って道具をすべて片づけて、すっきりした気持ちで帰宅しました。

今日の文字のように、来年はいろいろな面で「昇」る年でありたいものです。

明日からは妻の実家の北九州に行きます。年賀状を書くのは明日から31日までの間に妻の実家で行わせて頂くのが恒例です。1月3日にはまた徳島に戻ります。それまでブログの投稿はお休みさせて頂きます。北九州の映像をいくつか撮っておきます。

今年1年、皆様いろいろお世話になりました。良い新年をお迎え下さいませ。


BOSEの広告

2011年12月28日 | インポート

Bosecm 少し前に新聞に出ていたBOSEのホームシアター機器の広告です。この書「一」を書いたのは書家の柿沼康二です。現在活動している書家の中で私が最も注目している人の一人ですが、TVのCMでも放映されています。

サイトを読むと、この書は縦3m、横5mの大字なのだそうです。顔真卿の書法を使いながら、墨の飛び散った、すごい迫力ですね。

書の表す複雑で強い世界観を、BOSEの機械の持っている複雑で高度な機能とだぶらせて、この機械の性能のすごさを宣伝しています。

最も現代的な、無機的な外見の機器のCMに、複雑な線と表現を使った書が使われていることがすごいと思います。以前だったら、西洋人のモデルが西洋的な生活の中でおしゃれに使っている場面の中で、精緻な機能を宣伝するようなCMが多く、そこに使われている文字は例えばゴシック体のようなものだったはずです。

ところが、今はここに、最も東洋的な書の線が使われるのです。

時代の感性が確実に変化しています。書に関わる人たちはこれを感じとらねばなりません。

今日の夕方、学生が一字書のデモンストレーションをします。縦4m、横3mの大字です。午後3時には会場に入って準備をします。本番が夕方の6:40頃になるそうです。見る人に感動を伝える表現ができるといいと思います。


NHK徳島 一字書揮毫中継

2011年12月26日 | インポート

12月28日(水)の夕方にNHK徳島の「とく6徳島」で、ゼミの女子学生が登場します。歳末に今年の一字を巨大毛筆で3m×3mの巨大な紙で書くのです。

場所は藍住町のショッピングモール「youme town」のスターバックスコーヒーのそばで書きます。ようやく、今夜、書く文字が決まりましたので、明日の午前中に練習します。

今回は一人の学生だけの書道デモンストレーションです。二人の学生が補助に入ります。音楽もなく、一字を書くだけですが、生中継ですので、うまく書けるかどうか・・一発勝負です。

よろしければ会場かTVでご覧ください。時間は夕方6:40頃だそうです。


書道展のはしご

2011年12月20日 | インポート

Misa_312月18日(日)は徳島市内の駅周辺で3つの展覧会をはしごしました。

最初は文学書道館に寄り、徳洋社展。次にあわぎんホール3Fの臨池会展。最後に四国大学交流プラザ3Fの漢字作品展。

いずれも、在学生や卒業生に関係ある展覧会です。そのあと、別な用事もあったので、ゆっくりできず、サーッと眺めるような鑑賞でしたが、やはり知っている人の作品が多かったので楽しく見させて頂きました。

すばらしい作品が多く全部紹介しようとおもいましたが、写真が多くなりすぎますので、割愛させて頂き、個人的な好みだけで作品をいくつか紹介しておきます。お気を悪くされないようにご覧ください。

ゼミの 卒業生で高知出身のMさんが久しぶりに来てくれて話をしました。右写真は「誠愛」と読むそうです。おしゃれな作品です。

Hama次は、北海道のT君。

真っ赤なバックの書の色の上に別な文字を墨で乗せた立体感のあるパワフルな作品。

Hukumotoそれから、在学生で大学院生のFさん。皆さん、それぞれの世界を表現しています。頼もしく思います。

  

書道を使って、何を伝えるか。

伝えたいメッセージは何なのか・・・

それが大事だと思っています。


明石大橋

2011年12月16日 | インポート

Akashioohashi 12月14日(水)午前に、神戸の高校まで出張でした。高校で行われる進路ガイダンスで、大学で書道を学びたい1年生生徒のために1時間の授業をしました。朝8:00に家を出発しました。淡路島から神戸に渡るのに通るのが明石大橋です。もう何度も通っている橋ですが、すごい建造物ですね。風光明媚な場所で、通るたびに景色に見とれます。

明石海峡は、瀬戸内海と大阪湾を結ぶ、古代からの海運の要所で、流れも速く、だからその流れで育ったタコは身が締まっておいしく名物になっています。

橋ができる前はフェリーがありましたが、橋ができて本数は減少し、日曜高速1000円の時代に経営が難しくなり、現在は休止しています。もしここに、瀬戸大橋のように列車も通っていれば、徳島への交通はもっとずっと便利だろうと思いますが、過去の様々な歴史の結果として、鉄道がないことがとても残念です。

淡路島は江戸時代は徳島藩で、筆頭家老稲田氏の管理下にありました。しかし、明治3年の廃藩置県に伴い、複雑な経緯から稲田家臣が徳島から独立して淡路県を建てようとし、それに怒った徳島藩士が洲本の主唱者宅を大砲で攻撃し、家屋を破壊し数十名の庶民を死傷させるという「庚午事変」が起きてしまいます。明治政府の決済で、事件に関係した多くの徳島藩士は切腹・禁錮・遠島となり、稲田家臣は北海道の屯田を命じられ、約半数が十勝に入植し厳しい寒さに苦しみながら開拓して競走馬の生産を始めます。これによって多くの優秀な人材が失われ、淡路の人も大変な苦労をし、徳島と淡路に大きな心の溝ができて修復不能となり、結果的に淡路島は徳島県から離されて兵庫県に編入されてしまうのです。淡路島には、南部に一時期鉄道が通っていましたが、戦前には廃線になってしまいました。

淡路島が、もし仮に現在徳島県であれば、近畿地方の人々の、四国に対する意識はだいぶ変わっていただろうと思います。今は、神戸の人々にとって、四国はとても遠い場所のように感じられるようです。

でも、実際には高速道路で行けば徳島・神戸間は1時間半以下で行けます。それほど遠いところではありません。実際の距離やかかる時間と、イメージの中での距離というのは異なります。人間のイメージは歴史によって作られるのです。

確かに便利な都市の中で生きていくのは楽しいことですが、時には海峡を渡って少し違った文化を体験することが、視野を大きく広げ、日本の本当の姿を知ることになるのかもしれません。私も長野県出身ですが、九州や四国や韓国に住んだことで、ものの見え方がかなり変化しました。

なお、生徒たちはとても熱心に話を聴いてくれて、こちらもたいへん楽しく授業できました。

午後に大学の授業があったので、高校の授業が終わってすぐに帰り、午後1:30には徳島に着きました。