2月20(木)~22日(土)、長崎県に
研究旅行に行きました。今回は全行程鉄道を使いました。
これは昨年から取り組んでいる学際的研究「阿波学事始め」の中で、幕末の栄寿丸漂流に関わる資料収集です。
研究メンバーのうち、4名が参加しました。私の他は日本文学科で日本史専門家の須藤先生、経営学部でスペイン語の達者な萩原先生、さらに非常勤講師として文学部などで教えていらっしゃって、国際関係やスペイン語に詳しい稲井先生の3名です。
初日は、島原市に宿泊しました。
夕方、島原市に着き、島原城の中にある歴史博物館を見学して、まずは島原の概要を知ることにしました。島原城は50年前に再現された美しい城でした。
次の朝、主目的である島原図書館の松平文庫に行き、そこで4時間程度、資料の探索と写真撮影に取り組み、大きな収穫がありました。
栄寿丸の乗員で日本に戻ってきた5名は、日本各地の4地域の出身です。
善助と弥市が紀州周参見、初太郎が阿波撫養、伊之助が伊予松山、そして太吉が島原です。帰国後にそれぞれの藩で、口述調査が行なわれて報告書が作られています。
昨年は和歌山に調査にいきましたので、今年は島原に調査に来たのです。島原では『墨是可新話』という本が作られて、その原本がこの図書館の「松平文庫」に保管されていました。担当のお二人の職員さんが親切に対応してくださいました。
調査が終ってから、松平家の菩提寺の本光寺の見学も済ませ、長崎に行きました。帰国した5名が最初に取り調べをうけた長崎の状況を知るためです。着いたのは夜でした。その日は中華街に食事に行って次の朝早く出島に行きました。右の写真は、復元最中の出島の右下隅の部分です。
ここには、現在、江戸末期の状況が一部再現されていて、説明も詳しく参考になりました。カピタンの生活の状況もよくわかりました。
最終日の午前には長崎歴史文化博物館を見学しました。この場所は、長崎奉行所立山役所のあった場所で、当時のお白洲も再現されていて、ボランティアによる再現劇も上演されていました。写真は、シーボルト事件の中で、シーボルトが国外退去の判決を受けて、お滝さんが悲しんでいる場面です。
初太郎たちが取り調べを受けた状況もよくわかりました。
紹介したほかにも、島原で武家屋敷の道案内をしてくださった方との出会いや、食事場所の女将さんがいろいろな文化を紹介して下さるなど、感激する場面が何度かありました。
長崎県は観光業が発展していて、観光客への対応がたいへん上手で、おもてなしの精神に満ちていると感じました。
昔から外国文化がたくさん入っていたところだけに、今後、諸外国の観光客を呼び寄せなくてはならない日本の観光業のモデルになるべき場所だと思います。
多くの情報を入手しましたので、研究はさらに進みそうです。