11月29日(火)、四国大学で、卒業生の上田普(ひろし)さんを招いて講演会を実施しました。
彼は淡路島出身、平成9年度卒業で、私は19年度に四国大学に来たところですから、一緒にいた期間はないのですが、3年前に講演で来て話を聞いてからすっかり彼を気に入って、個展を見に行ったりしています。今回、学生の為に来て、講演をしていただきました。パワーポイントで多くの画像を見ながら、わかりやすく楽しく勉強できました。
彼は卒業後に中国の杭州大学に留学するものの、自分の求めるものを見つけられず、一年でカナダのトロントに行きます。そこで、版画家や画家など、現代アートにかかわる人々と出会い、書道の殻を破って、独自の新しい書の表現世界を作り始めます。
数年後、京都に戻ります。そこで京都の伝統文化と書と現代アートを結合させ、さらに進化を遂げています。
3年前からさらに進化した講演を聞いて、頼もしく思いました。書道の新たな光を感じました。
「一般の方は書道に対して、敷居の高さを感じている。しかし、例えばアクセサリーの中に書を取り入れて身に着けたら、ずっと身近に感じるでしょう?」
体験に裏打ちされた彼の言葉は心の中にずばりと飛び込んできます。また、その作品のすべてに「コンセプト」がしっかりと存在し、そのひねり・ユーモア・愛情・品格に、何とも言えない魅力を感じます。また、紙と墨にこだわらず、表現のためなら、どんな材料も取り入れる柔軟さにあふれています。
右の写真は、「て」と「手」をつなぐことを表現している作品です。
芸術の世界は、若者が活躍しなければ、絶対に活性化しないと思っています。彼に続くような学生が出てくることを実は秘かに期待しています。