詩人PIKKIのひとこと日記&詩

すっかりブログを放任中だった。
詩と辛らつ日記を・・

2006 NO・8    ある晩冬の情景

2014年10月28日 | 

ぼくら兄弟は札幌へと向かうバスの中だった  おばさんの家に寄っていく予定があったので  長い長いバスの旅の途上だった

洞爺湖からバスを乗り換えると  見慣れた顔の車掌さんが笑っていて  彼女が急に運転手に向かって 「この二人のバス代を私の給料から引いて下さい」と言った  思わず涙が溢れ出しそうになったけど  唇を強くかみ締めながら 「それは結構です・・」としか言えなかった  

車窓の外には 雪化粧の森や丘が延々と続き  黄昏ゆく峠道には灯りの一つも見えてこない

 

すべての受験に失敗した僕は  両親になんとか懇願して  札幌の予備校に行く途中だった   弟はといえば 内地の会社に就職するために向かう途中だった  

窓の外にはしばらく  陽を浴びて輝く洞爺湖と樹氷が見えていたが
  

車内で泣きじゃくりながら目覚めて  ふっと車窓に目をやると  そこは煌々と輝く北の首都札幌  駅前を白い息を吐きながら行き交う人々の群れだった


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