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アリの一言:皇室典範の違憲性示した秋篠宮発言

2020年12月26日 | 四要素論

皇室典範の違憲性示した秋篠宮発言

2020年12月01日 | 天皇制と憲法

    
 秋篠宮(皇嗣)は11月30日の誕生日にあたっての記者会見(実施は11月20日)で、長女の結婚に関し、「結婚することを認めるということです。憲法にも結婚は両性の合意のみに基づいてというのがあります」「両性の合意のみに基づくということがある以上…」(宮内庁HP)と繰り返し述べました。

 当たり前のことですが、皇嗣である秋篠宮の発言である以上、単純に当たり前として見過ごすことはできません。なぜなら、この発言は皇室・皇族(写真右)の義務、すなわち天皇制の在り方を規定している皇室典範と矛盾するからです。

 秋篠宮が言うように、憲法は第24条で「婚姻は両性の合意のみによって成立」すると規定しています。これが現在の日本における婚姻の原則です。
 しかし皇室典範は、「立后及び皇族男子の婚姻は、皇室会議の議を経ることを要する」(第10条)としています(立后とは皇后を決めること)。一見この規定は「皇族男子の婚姻」の自由を制限しているようですが、これによって「皇族男子」の結婚相手である女性が皇室会議でふるいにかけられ選別されることになります。この条項は婚姻における女性差別・蔑視の規定でもあるのです。この皇室典範の規定が憲法に反していることは明白です。

 秋篠宮家長女の結婚に皇室典範のこの規定は適用されません。しかし、娘の結婚にあたって憲法24条に従うべきだと言明した秋篠宮の発言が、皇室典範(第10条)と矛盾していることは明らかで、その発言は皇室典範の違憲性を照射したと言えるでしょう。

 皇室典範の違憲性はもちろん婚姻についてだけではありません。

 その第1条は、「皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する」であり、これが皇位継承から女性を排除する明白な女性差別(憲法14条違反)条項であることは周知のことです。

 また皇室典範は、第11条~14条で皇族が「身分を離れる」場合の要件を細かく規定しています。皇族は自分の意思で「皇族」という「身分」から脱することができないのです。これは「居住・移転の自由、職業選択の自由」(憲法22条)、「信教の自由」(同20条)、「表現・集会・結社の自由」(同21条)、「選挙権」(同15条)などを奪うもので、「基本的人権の尊重」(同11条)という憲法の大原則に何重にも反しています。

 以上のように、皇室典範が憲法に反していることは明白です。もともと現在の皇室典範は、戦前の大日本帝国憲法下の旧皇室典範の主要部分をそのまま引き継いだものです。本来、敗戦後憲法下において廃棄されるべきものでした。それが今日まで温存され、それによって天皇制は維持されているのです。ここに天皇制における戦前と戦後の歴史の連続性が端的に表れています。

 秋篠宮は2年前、やはり「誕生日会見」(実施は2018年11月22日)で、天皇の代替わりに行われる「大嘗祭」について、「宗教色が強いものについて、それを国費で賄うことが適当かどうか」「宗教行事と憲法との関係はどうなのかというときに、それは、私はやはり内廷会計で行うべきだと思っています」(宮内庁HP)と述べ、憲法の「政教分離」(第20条)の観点から国事行為としての「大嘗祭」に異議を唱えました。

 この時、菅義偉官房長官(当時)は、「あくまでも個人的意見」として政府としてのコメントを避けました。しかし秋篠宮はいまや「皇嗣」です。秋篠宮の憲法発言を「個人的意見」としてスルーすることはできません。

 「象徴天皇制」の法的元凶は、もちろん皇室典範ではなく、日本国憲法自身です(第1~8条)。したかって憲法から天皇条項(第88条も含め)を削除することが必要です。
 同時に、そこに至るまで、憲法が現行のままの段階でも、違憲立法が許されないことは言うまでもありません。天皇(皇嗣)にももちろん憲法遵守義務(憲法第99条)があります。

 憲法違反の皇室典範は直ちに廃棄されなければなりません。
 今回の秋篠宮発言で目を向けるべきは、堕落したメディアが興味本位で取り上げるスキャンダルなどではなく、皇室典範、天皇制の違憲性という根本問題です。

 

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