成長

連弾会が終わって、
数日しか経たないうちに
Ｓくんがレッスンにやってきた。

連弾が終わってから
練習を始めた曲たちとともに。
しかも、全て、
丁寧に練習をして。

数年前、
はっきり言って
Ｓくん、
かなり危険水域にいた。

音符を覚えるのが面倒くさくて、
新しい曲を読むのが面倒くさくて、
レッスンも
遅刻が多くなって。。。

こんな風にフェイドアウトして
やがて辞めてしまうのかなぁ。。。

などと思わされていた時期があった。

それでも、
教室に来てくれた時には
出来るだけ出来ることをやって
出来ることを増やして
楽しかったと思ってもらいたくて
色々と。。。
話し合ったりもしたなぁ。。。

この一年くらいかなぁ。
突如、譜読みが安定し始めた。
山を越えた
と感じた瞬間が見えた。
すると、
レッスンの遅刻がなくなってきた。
読みやすい曲に限っては、
きちんと練習するようになってきた。
そこを越えると、
どの曲も
きちんと練習するようになってきた。

表現の面でも、
音色が増え、
幅が広がってきた。

で、
三年振りの連弾。
テンポが乱れやすいチームを
うまく整えたのは、
間違いなくＳくんだった。
最初は、
ただただ鳴らしていただけだったのに、
テンポの乱れを「自分に合わせろー！」
って、こんな感じに弾くんだよ、
と言った私の演奏に反応した。

こんなことまで出来るのか…
と本当にびっくりだった。

普段、
そこまで「引っ張る」
感じのタイプではないＳくん。
これが、どうして、
ピアノを弾いている時は
口数はほとんどないのに
立派な「リーダー」だった。

気持ちの面でも、
本当に本当に
大人になってきているのだと
感心させられた。

譜読みの壁。
Ｓくんにとって、
ここがターニングポイントだったかな？
越えたＳくん。
がんばったね。
よかった！

そして、
これから。
ここから。